バリアフリーという言葉を知っていますか。生活の中にあるバリアー(壁)を取り除き、障害のある人やお年寄りなどが生活しやすくすることです。みんなが安心して自分らしく暮らせる、やさしい社会にしていくための課題を考えてみましょう。(「Newsがわかる2023年10月号」より)
駅ホームから転落 点字毎日記者と考える
障害がある人やお年寄りなどの生活上のバリアーのうち、駅のホームにあるバリアーについて点字毎日の佐木理人記者(49)と考えてみましょう。
佐木さんは中学生の時、病気で視力を失いました。大学生だった1995年10月、大阪市営地下鉄天王寺駅のホームで白いつえをついて歩いていた時、電車と接触して線路内に転落。電車に引きずられ、腕や足を骨折する大けがをしました。
周囲の無関心に絶望感
「社会に見捨てられた」。ホームから転落した時、佐木さんはそう思ったそうです。ホームには点字ブロックがありましたが不十分な設備でした。
周囲には、視覚障害を示す白いつえを使う佐木さんが電車に近づいて危険なことに気づいた人もいたはずです。でも、声をかけてくれた人はいませんでした。「当時は交通のバリアフリーを進める法律がなく、社会の関心もまだ低かった」と佐木さんは振り返ります。
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