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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

自然界のお助け役 おどろくべき菌類の働き

キノコなどの菌類が高度に働いて複雑な世界を形づくっていることが最近の研究でわかってきました。先ごろ刊行された絵本「奇妙で不思議な菌類の世界」を監訳した菌類学者の白水貴さんに話を聞きました。(「Newsがわかる2023年10月号」より)

陸上生態系をつくった?

——太古から菌類は植物と一緒に生きていたのですか。
白水さん 元々、水の中にいた植物は約5億年前に上陸したと考えられています。そのころの陸上生態系は今と異なり、土はなく、生物もほとんどいない状態でした。根も発達していないような植物がかこくな環境への上陸に成功したのは、菌根菌*と共生したからだといわれています。菌根菌が水や養分を効率よく集めて植物にあたえていたのです。

——菌類の存在は大きかったのですね。
白水さん 陸上植物と菌根菌は切りはなせない関係だったでしょう。菌根菌がいると植物の成長は著しく改善します。また、菌類がいないと発芽しないこともあります。初期の段階で菌類がいなかったら、「生産者としての陸上植物」※は存在しなかったかもしれません。

——菌類の特徴を一口でいうと?
白水さん 「菌糸という体で栄養を得て生きていける」ことです。菌糸はかみの毛の10分の1くらいの太さの細胞がつながった糸のような形をしています。動物は口に入るサイズのものしか食べられませんが、菌類は菌糸を持つおかげで、自分の体の何百〜何万倍という大きさの生き物を食べることができます。

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