キノコに親しむことが多い秋。野山や公園でひょっこり顔を出したキノコに出合うことはありませんか。形や大きさはさまざまで、それぞれが個性的。その実、自然界で重要な役目を果たしている菌類の一つ、キノコのふしぎな魅力にせまります。(「Newsがわかる2023年10月号」より)
キノコといえば、柄の上にかさを広げたすがたがおなじみですね。ためしにキノコをさいてみると、白い糸のようなものがたくさん見えます。それを「菌糸」といいます。
私たちが知っているキノコは「子実体」という一部分にすぎません。キノコは倒木や地面の下に菌糸を長くのばしているので、これをふくめた本来のすがたは大きく、世界最大の生物はキノコだといわれるほどです。
アメリカ西部オレゴン州の森で発見されたオニナラタケは2400年以上の歳月をかけて菌糸の束が880ヘクタールに成長していました。これはシロナガスクジラをはるかにしのぐサイズです。
キノコをはじめとする菌類の大切な仕事は自然界のそうじです。動物の死がいや、かれてくさった植物などをじょじょに分解します。
もし、キノコなどの菌類がこの世になかったら、生きものは土にかえることができず、地上は死がいだらけになってしまうでしょう。
キノコは死んだ生き物などから栄養を取り入れます。菌糸の先をのばして相手の中に入り込み、とくしゅな成分を出して分解、吸収します。
おもにくさった木などを栄養源とするキノコを「腐生菌」といいます。一方で、生きている木と栄養のやり取りをして共存共栄を図るキノコを「菌根菌」といいます。
腐生菌の代表、シイタケ。コナラの木を使って人工的に生えさせているようす=福島県南会津町で
菌根菌の代表、マツタケ。栄養をやり取りするアカマツの根にそって生えている=岐阜県八百津町で
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