今から100年ほど前、ここは何もない原野でした。現在のように木々が生い茂るうっそうとした森になるまでに、どんな奇跡があったのでしょうか。(「Newsがわかる2023年8月号」より)
献木でつくられた人工林
東京・JR原宿駅からすぐの場所に建つ明治神宮の南の鳥居。この大きな鳥居をくぐると、その世界はがらりと変わります。目の前に広がるのは、木々から大きく伸びた枝葉のアーチ。驚くほどしんとした、すがすがしい空気に包まれます。
明治神宮は、明治天皇と皇后の昭憲皇太后をまつる神社。神社に欠かせない“鎮守の森(※)”をつくるために、日本中から約10万もの木が集められ造成されたのが、この明治神宮内苑の森です。森の設計などを担当したのが、東京大学の林学科教授の本多静六と、その弟子である本郷高徳と上原敬二でした。
※神社の参道や拝殿などを取り囲むようにしてある森のこと