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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

知ってた? 睡眠のメカニズム|眠りが脳を育てる

みなさんは、夜ふとんに入ってから朝までぐっすりと眠っていますか。睡眠中の9~10時間に、脳は昼間経験したことを記憶し、体と心の健康を守るためのさまざまな働きをしています。何が起こっているのか、探ってみましょう。(「Newsがわかる2023年6月号」より)

◆ノンレム睡眠「記憶を整理し、固定化する」

 私たちは眠りにつくと、まず「ノンレム睡眠」という状態に入ります。ノンレム睡眠中に行われているのは、情報処理機関としての脳の整理整とんです。

 脳は1000億近い神経細胞(ニューロン)でできています。長期記憶をするには、ニューロンのつなぎ目となるシナプスの強化が必要で、勉強したり、ものごとを体験したりして脳を働かせれば働かせるほど、シナプスは強くなります。ところが、あまり強くなると情報が多くなりすぎ、脳自体が処理しきれなくなってしまいます。

 そこで、シナプスの強度をちょうどいい具合に下げ、大事なことだけをしっかり覚え込めるような状態に整えておく必要があります。脳はその作業を何らかのメカニズムでノンレム睡眠中に行っていると考えられています。

 脳のごみを洗い流している?  ノンレム睡眠中に脳の老廃物(ごみやよごれ)が除去されているのではないかという説があります。代謝がさかんな脳は老廃物も多く出しているはずで、脳を満たす「脳せきずい液」が循環して洗い流していると考えられています。認知症を引き起こすアルツハイマー病は脳に有害物質がたまることが原因なので、よく眠ることで防げるかもしれません。

◆レム睡眠「なぜ? 活発に働いている脳」

 ノンレム睡眠と入れ替わる形で、つぎは「レム睡眠」という状態に入ります。この時、脳はさかんに活動中。意識こそありませんが、むずかしい算数の問題を解いているのと同じくらいの働き方をしています。

 さらに、体を動かすシステムも働いており、わざわざ運動神経をまひさせる信号を送って体が動くのを止めています。ふしぎなレム睡眠ですが、何のためにあるのかよくわかっていません。

 夢は見ている でも覚えていない  私たちは夢を一晩で4〜5回ほど見ています。思い出せるような夢はレム睡眠中のもので、記憶のイメージが断片的に現れます。なので、夢うらないや夢による未来の予知には根拠がありません。
 レム睡眠中は記憶が働いていないため、起きてからも夢の中身を覚えていることはありません。ただし、レム睡眠が終わる直前や終わった直後に目覚めると、何となく内容を思い出す場合があります。
 脳の半分で眠るイルカ  人間と違う眠り方をする動物がいます。水族館にいるバンドウイルカは脳の半分で眠り、もう半分を働かせて泳ぐことができます。これを半球睡眠といい、レム睡眠は現れません。オットセイ、セイウチなども同様の眠り方をします。
一生のほとんどを空を飛んですごすヨーロッパアマツバメは、とても高いところまで上がってから急降下する動きをします。降下する数秒間に眠っています。
ニュースがわかる2023年6月号

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