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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

外来生物は悪者なの?

外来生物(がいらいせいぶつ)とは、もともとはその地域にいなかったのに、人間の活動によって入り込んできた生き物のことです。ペットや家畜にするため、誰かがわざと持ち込んだ場合と、外国からの荷物などにまぎれこんでやって来た場合があります。

たとえば、もともとはアメリカ大陸にしか住んでいなかったのに、いつの間にか日本で増えていたカミツキガメは、外来生物です。また、昔は本州より南にしかいなかったカブトムシが、北海道でも見られるようになりました。このような場合も、北海道にやってきたカブトムシは外来生物、ということになります。

日本の外からやってきた外来生物は、わかっているだけで約2,000種。その中には、数が増えてその地域や人間に悪影響を及ぼし、問題になっている生き物がいます。問題は大きく分けて次の3つがあげられます。

①日本にもともと住んでいる生き物や自然が被害にあう

 その地域に昔からいた生き物(在来生物)を食べたり、エサを横取りしてしまい、在来生物を絶滅させたり、その地域の生態系のバランスを崩してしまう

②人間が被害にあう

 人にかみついたり、刺したりする。毒を持っている生物もいるので危険

③農業・林業・漁業が被害にあう

 大切に育てている農作物や魚が食べられてしまう

一度日本に住みついて数が増えてしまうと、駆除(くじょ)することは簡単ではありません。日本が昔から大切にしてきた自然や生態系、農業や漁業を、外来生物から守り、人が安全に暮らせるようにするためには、まず外来生物を日本に持ち込まないこと。また、外来生物を飼っている人は、外に捨てたり出したりしないしないことが重要です。

外来生物の方からすれば、日本の環境をめちゃめちゃにしようと思ってやってきたわけではありません。なれない場所で、生き残るために必死に暮らしているだけ。でも、私たちの暮らしや自然に悪影響がある生き物を、「かわいそうだから」とそのままにしておくわけにもいかないでしょう。この問題は、自然環境にかかわるさまざまな問題とも複雑につながっています。外来生物をどうするかだけでなく、地域の自然とどう向き合っていくかをしっかり考えていく必要があります。(編集部)※写真は外来生物のヌートリア