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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

どうなる?「核のない世界」

連日予断を許さないロシア・ウクライナ情勢。核兵器を保有するロシアの動向に全世界が注目しています。一方で核兵器を持っている国はロシア以外にもあります。世界の状況を見てみよう。(ニュースがわかる2019年1月号より)

 アメリカが中国やロシアに対抗することを理由に、核兵器の開発や配備を進めています。一方、南半球の国々を中心に、世界では核兵器のない世界を目指す動きが広がっています。核兵器をめぐる世界の状況をまとめました。

大国目指し開発競争

第二次世界大戦後、国際的に大きな力を持ちたい国々は、競って核廃棄を開発しました。旧ソ連の(今のロシア)は1949年に初めて核実験をし、イギリス(1952年)、フランス(1960年)、中国(1964年)が続きました。アメリカを中心とする西側諸国と、ソ連を中心とする東側諸国の対立が深まる中、核開発競争は激化し、1985年には両国の核兵器は6万発を超えました。

  ポイント  第二次世界大戦後の西側諸国と東側諸国の戦火を交えない対立を「冷戦」という。アメリカのような資本主義※の国はヨーロッパの西側に、旧ソ連のような社会主義※の国は東側が多かった。冷戦は1989年に終結した。 本部はベルギー・ブリュッセルにあり、現在は計30カ国が加盟している。 加盟国が武力攻撃を受けた場合、その攻撃がすべての加盟国に対するものと判断し、武力の使用などの必要な行動を取って加盟国を助けることにしている。

※資本主義…個人が財産を持つことや、利益を追求するのを認める考え方
※社会主義…個人が財産を持つのを制限し、経済活動を社会(国)で管理する考え方

101カ国が非核兵器地帯

一方で、核兵器に「NO」を突きつける国々が南半球を中心に広がっています。上の図のように、人が住まない南極大陸を除くと五つの非核兵器地帯条約があり、合わせて101カ国が締約しています。五つの条約は成り立ちが違いますが、どれも地帯内での核兵器の開発、実験、製造、保有、配備や、地帯への使用と使用するという威嚇(※脅すこと)を禁じています。

NPTで持てる国を制限

 核兵器を持つ国が増えないように、1970年に核拡散防止条約(NPT)が発効しました。すでに核実験をしていたアメリカ、旧ソ連、イギリス、フランス、中国の5カ国以外が核兵器を持つことを禁止し、5カ国に核兵器を減らす話し合いを義務づけました。191カ国・地域が加盟していますが、未加盟のインド、パキスタン、イスラエルは核実験をし、北朝鮮は条約からの離脱を宣言して核実験を行いました。

批准が進む核兵器禁止条約

※批准(ひじゅん)…条約に国が同意する最終手続き

 国連で2017年7月、核兵器禁止条約が122カ国の賛成で可決されました。核兵器の開発、実験、製造、保有と、使用や使用するという威嚇を禁じる条約です。50カ国・地域が批准すると発効しますが、核保有国や核の傘の下にある日本など約40カ国は話し合いに参加しませんでした。

  核の傘  核保有国が同盟国を核兵器が持つ力で守っていること。核兵器の力があまりにも大きいため、対立する国も使用を思いとどまり、戦争を回避できるという「核抑止論」に基づく考え方。

ニュースの基礎用語

核兵器のニュースには聞き慣れない言葉がたくさん出てきます。意味がわかるとニュースがよくわかりますよ。