Woodを使ってGoodな未来へ【月刊Newsがわかる5月号】

犬の見え方 なぜわかる? 【疑問氷解】

Q:犬は、物が白黒で見えていると聞きました。犬になったことがないのに、なぜ分かるのですか。(中1)

黄色や青が見えやすい 目の細胞分析、実験も

   麻布大学(神奈川県相模原市)で、犬の目について研究をしている高橋広樹助教)に聞きました。

    ◇   ◇ 

 犬は景色を白黒で見ていると長く考えられていましたが、主に青と黄色の2色で見えていることが最近分かってきました。イラストのように、犬には黄色や青色はよく見えますが、赤と緑は区別がつきにくい色です。

 犬も人間も同じですが、目の中で光を受け取る網膜にある「錐体(すいたい)細胞」というセンサーが、色を識別しています。錐体細胞には、「オプシン」という、色を吸収する分子(とても小さな粒)がたくさんあり、人間は、赤、青、緑色の3種類を吸収する分子を持ちます。これに対して、犬には青と黄色を吸収する2種類の分子しかありません。

 赤、青、緑は「光の三原色」といって、混ぜ合わせる割合を変えることで、とてもたくさんの色をつくることができます。人間は、光の三原色を組み合わせて、100万色以上の色を識別できるといわれています。一方、犬の場合は青と黄色の組み合わせなので、識別できる色が限られてしまいます。特に見えづらいのが、赤や濃い緑です。このことは、犬の目の中にある錐体細胞をくわしく調べたことから導き出され、「犬にはこう見えているだろう」と推測しています。

 実際に犬にはどう見えているのかを調べた実験もあります。イタリアで、16頭の犬に対して、人間が使うのと同じ色覚を調べる検査が行われました。研究結果をまとめた論文が2017年に発表されています。

 人間にも、生まれつき赤や緑が見えづらい人がいて、その検査に使う「石原色覚検査」というテストがあります。赤や緑などのさまざまな大きさの丸が密集する円の中に、数字が書かれていて、この数字の見え方で、色の違いの判別しやすさを調べることができます。

アニメへの反応観察

 実験では、この石原式検査を利用して、犬は数字が読めないため、数字の部分を猫に変えたアニメーションを作りました。このアニメを犬に見せて、目で追って見ているかどうかなどの反応を観察することで、特定の色が見えているかを調べたのです。

 その結果、赤や緑が見えづらい人が見えないのと同じパターンで作られたアニメに対しては、通常のパターンのアニメよりも犬の反応が低下することが明らかになりました。このことから、犬は赤と緑の識別が苦手だということが分かりました。

 人間に比べると識別できる色が限定され、さらに犬の視力は0.14~0.4くらいしかありません。犬は不便を感じないのでしょうか。この点について高橋さんは「犬の見える力が弱いのではなく、人間をはじめとする霊長類の見る能力が発達しすぎている」と言います。

 ただ、もともと夜行性動物だった犬ならではの、人間にはない機能があります。網膜の裏にある「タペタム」という細胞です。これには反射板の役割があり、弱い光でも明るく見ることができます。夜に犬や猫の目が光っていることがありますが、これはタペタムによるもので、これによって犬は暗いところでも活動できるのです。

 また、人間の数千倍ともいわれるすぐれた嗅覚も、犬が生きていく上で重要な助けになっています。【毎日小学生新聞編集部・田嶋夏希】(毎日小学生新聞2024年12月16日掲載)

★「疑問氷解」は毎日小学生新聞で月曜日(第1月曜日を除く)に連載中!      

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