「姿勢をよくしなさい!」 おうちの人や先生に、こう言われることはありませんか?言われると、ちょっぴり面倒に感じてしまうかもしれません。でも、どうして大人は何度も姿勢の話をするのでしょう。
実は、良い姿勢には、きみの持っている力を最大限に引き出す「すごい秘密」が隠されているのです。 今日は、姿勢や体の動きの専門家である「理学療法士(りがくりょうほうし)」である理学ボディの菊田雄介先生と一緒に、その驚きのパワーを解き明かしていきましょう!
ここで、クイズです。きみの頭の重さは、どれくらいか知っていますか?
正解は、なんとボウリングの玉1個分くらい、約4〜5キログラムもあります。良い姿勢の秘密は、この重たい頭を、いかに上手に支えるかにかかっているのですよ。
すごい力①:頭がシャキーン!勉強も遊びも楽しむための「酸素」
背中が丸まっていると、ストローを折り曲げた時のように、空気の通り道(気道)がせまくなってしまいます。すると、呼吸が浅くなり、脳に届く「酸素」が少なくなってしまうのです。脳のごはんである酸素が足りないと、なんだか眠くなったり、集中できなかったりします。
でも、背筋をスッと伸ばすとどうなるでしょう? 空気の通り道がまっすぐになり、一度にたくさんの酸素を吸い込めます。新鮮な酸素がたっぷり脳に届くと、頭がシャキーンと目覚めて、勉強がわかりやすくなったり、ゲームの良いアイデアがひらめいたりするのです。
これは、理学療法士の先生たちが「呼吸の科学」とよぶ、大事な体の仕組み。良い姿勢は、きみの脳と体にパワーを送る「科学的なスイッチ」になります!
すごい力②:気分はヒーロー!自信がわいてくる「魔法のポーズ」
しょんぼりしたとき、人の背中は自然と丸まってしまいますよね。逆に、胸を張って少し上を向いてみてください。なんだか「よし、やってみよう!」という気分になりませんか?
姿勢と心は、深くつながっています。胸を開くヒーローのようなポーズをとると、脳からやる気や自信を生み出す物質が出てきます。テストの前や、何かに挑戦するとき、この「魔法のポーズ」を試してみてください。きっと勇気がわいてくるはずです。

【おうちでできる!“魔法のポーズ”3ステップ】
1,背すじをスッと伸ばして立つ(座っていてもOK!)
2,胸を広げ、肩を少し後ろに引く
3,アゴを軽く引いて、目線を少し上へ。この姿勢で、10秒間ゆっくり深呼吸してみてください。 まるで心の中に光がともるように、やる気がわいてくるはずです。
すごい力③:疲れ知らず!「ボーリングの玉」をラクラク支える体のヒミツ
さっきのクイズを思い出してみましょう。きみの頭は、ボーリングの玉くらい重いのでしたね。
もし、悪い姿勢で首が前に出てしまうと、その重たい頭を支えるために、首や肩の筋肉が「余分な仕事」をしなくてはいけません。 例えば、首が少し前に傾くだけで、15キログラム以上…なんと、お米のふくろ3つ分もの重さが首にかかってしまうのです!これでは、すぐに疲れてしまいますよね。

良い姿勢は、背骨という丈夫な柱が、重たい頭を真上でしっかり支えてくれている状態です。筋肉に余計な力が入らないので、長い時間座っていても疲れにくい「省エネ」な体になります。一日中元気に過ごせるパワーの源なのです。
どうでしたか? 良い姿勢は、きみの集中力、やる気、そして体力をアップさせる、まさに「体に良いこと、全部入り!」のスペシャルパワーだったのです。
まずは、頭のてっぺんを、見えない糸で天井からそっと引っ張られているようなイメージをしてみましょう。それだけで、きみのすごい力は目覚め始めますよ。
次回は、授業中にそわそわしちゃうヒミツを、きみの「足の裏」から解き明かします。どうぞ、お楽しみに!