Q:なぜ乳歯から永久歯に変わるの?(大阪市、中1)
体もあごも発達 成長に合わせる
A 乳歯は3歳ごろ生えそろい、6~12歳ごろ永久歯に変わっていきます。乳歯は20本、永久歯は親知らずを入れずに28本です。
3歳はまだ体が小さいですが、小学生のみなさんはどんどん大きくなっているでしょう。東京医科歯科大学(現在は東京科学大学)非常勤講師の松本宏之さんは「体だけでなく、あごも発達するので、乳歯だとそれに合わず、すき間だらけになってしまいます。永久歯では、奥歯が上下左右2本ずつ計8本、乳歯より多く生え、成長に合わせるのです」と説明します。
歯の元になる「歯胚(しはい)」はまだ生まれる前、お母さんのおなかの中にいる胎児のころに作られます。乳歯は妊娠6~8週目ごろ、永久歯は妊娠5か月ごろにできてきます。その後、永久歯は乳歯の下で成長し、永久歯の根ができ始めると、乳歯の根を溶かす細胞が作られます。この細胞が、永久歯が出てくる通路を作ります。「永久歯は乳歯を目指して生えてくるので、ケガなどで乳歯が早く抜けると正しい位置に永久歯が生えてこないことがあります」と松本さんは話します。
乳歯は永久歯の先導役
乳歯が全部生えそろった後に永久歯が生えてきますが、その一つに「第一大臼歯(だいきゅうし)」があります。「第一大臼歯」は、乳歯のさらに奥に生える歯です。「これはもともと乳歯のない歯茎から生えてくる永久歯ですが、乳歯がそろった後、さらに奥を定位置にしています。乳歯が欠けている場合は専用の入れ歯などを使って、正しい位置に生えるよう誘導します」と松本さん。このように乳歯は永久歯の先導役も果たしているのです。
人間は一生に1回歯が生えかわり、永久歯が抜けたら新しい歯は生えません。しかし、そうではない生き物もいます。サメはあごの骨の内側でどんどん新しい歯が作られていて、外側の歯が欠けると次の列の歯が出てきます。ウサギやネズミなどの「げっ歯類」の歯は生えかわらずに伸び続けます。そのため、硬いものを食べて歯をすり減らしています。
長く使う永久歯に比べ、乳歯は表面のエナメル質やその下の象牙質が薄く弱いです。「特に乳歯と永久歯が混じっている小学生のころは、歯の大きさや形が違うので歯磨きがしにくく、虫歯になりやすいのです。乳歯の虫歯は歯並びなどにもかかわります。気になったら早めに歯科医に相談してください」と松本さんは話しています。【毎日小学生新聞編集部・田村彰子】<え・内山大助>
(毎日小学生新聞2022年7月4日掲載)

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