Q:学校で飼う生き物に決まりはある?(愛知県名古屋市、小5)
動物の幸せを第一に 学校に合わせて選ぶ
A 学校飼育は、明治時代の終わりごろから始まったといわれています。「ひとと動物の絆の心理学」などをテーマに研究し、学校飼育に詳しい大手前大学准教授の中島由佳さんは「学校の庭の植物栽培とともに、動物の性質や生態、飼い方や育っていく様子を学ぶためにウサギやニワトリなどを飼うことが広まりました」といいます。国が定めた決まりはなく、学校の取り組みはまちまちでした。
1992年に小学1、2年生を対象に「生活科」が始まりました。学校で学ぶ内容や目標を示した学習指導要領の中で「動物を飼ったり植物を育てたりして(中略)生き物への親しみをもち、大切にすることができるようにする」と学校飼育の意義が盛り込まれました。
そこで、学校の先生をサポートして、生き物の飼育のしかたや生き物についての知識をより多く持ってもらうために、文部科学省は先生用の手引「学校における望ましい動物飼育のあり方」を作成しました。
手引は、学校で飼える動物の種類を示しているわけではありません。それぞれの学校の規模や施設などに合った動物を選ぶことが大切であると説明したうえで、主な飼育動物としてウサギ、モルモット、ハムスター、ニワトリやチャボの飼い方を解説しています。ただし、「あまり特殊であったり手間がかかりすぎたりする動物は飼わないことが望ましい」と書かれています。
中島さんに動物を選ぶポイントを聞きました。「エサの確保や掃除が大変でないなど飼育しやすいことや、病気になりにくい動物を選びましょう。動物の数を増やしすぎないようにするのも大事です」
近年は教室での飼育も増え、モルモット、ハムスター、小鳥、金魚、ザリガニ、メダカ、カエルやカメなどが飼われています。しかし、鳥インフルエンザが流行した2004年以降、鳥類は減っています。鳥類や昆虫に比べて世話に手間のかかる哺乳類も減っているようです。その一方で、全国ではヤギやヒツジ、クジャクを飼育している小学校や、ウーパールーパーなどの珍しい生物を飼育している小学校も少ないながらあります。
困ったら獣医師へ
中島さんは「飼いやすさも大切ですが、どうすれば動物が幸せと感じるか、動物の身になって考えてください。おなかがすいたり寒かったりするのはつらいし、汚れたすみかで暮らすのはいやなのです。また、飼育の前と後にはよく手を洗ったりうがいをしたりして、自分たちと動物の健康を守るように気を付けることが大事です。わからないことや困ったことがあった時は、獣医師に相談しましょう」と話しています。【毎日小学生新聞編集部・篠口純子】(毎日小学生新聞2019年10月29日掲載)

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