高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は５年一貫教育（商船学科は５年６カ月）。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう！」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は宇部高専を紹介！
令和８年４月、宇部高専は新しく生まれ変わります！！～社会に羽ばたく「デジタル人材」を育てるために～
宇部工業高等専門学校（宇部高専）は、国立高専の一期校として１９６２年に創設された、日本で最も歴史ある高専の一つです。これまでに９，４００人を超える卒業生がおり、技術者・研究者・経営者として日本や世界のさまざまな分野で活躍しています。
現在は５年制の「本科」に５つの学科（機械工学科、電気工学科、制御情報工学科、物質工学科、経営情報学科）があり、その後さらに学べる２年制の「専攻科」には３つの専攻（生産システム工学専攻、物質工学専攻、経営情報工学専攻）を設置し、専門知識や技術だけでなく、考える力・実践力・課題に向き合う力を育てています。
すべての学科で「情報教育」を強化！
令和８年４月から、宇部高専は新しい形に生まれ変わります。
• 電気工学科が新しく「電気システム工学科」に変わります！電気だけでなく、情報系の学びも重視した学科に進化します。
• 機械工学科と物質工学科に、情報系のコースを新設。４年次からそれぞれの専門系と情報系のコースを選択でき、情報技術も学べます。
• 制御情報工学科・経営情報学科では、情報分野をさらに強化します。
今後、情報人材が圧倒的に不足すると言われている社会ニーズに応えるように、宇部高専では、すべての学科で情報教育を強化し、社会で活躍できる“高度な専門力”と“情報技術力”を持つ人材を育てていきます。
短期集中で学ぶ「4学期制」！
１年間を４つの学期に分けて、各学期を約８週間とする「４学期制」を導入。短い期間に集中して学べるため、知識の定着や技術の習得がより効果的になります。
また、学期の合間に地域などの課題を解決する地域教育やコンテストなどに出場するための自主活動、さらには留学生や海外在住者との国際交流などの実践的な活動にも取り組みやすくなります。
海外とつながる、豊かな国際交流！
グローバルな視野を持つ技術者を育てるため、海外研修などの国際交流を積極的に行っています。台湾・シンガポール・オーストラリア・マレーシア・韓国・ベトナムなど、協定校への研修に多くの学生が参加しています。意欲ある学生には研修費用の一部補助制度もあります。さらに、語学力や国際感覚を身につけた学生は、「宇部高専グローバルマイスター」として認定されます。
シンガポールのナンヤンポリテクニックでの海外研修の様子＝宇部高専提供
実践的・創造的に学ぶ「課題解決型教育」！
学年や学科の枠を超えてチームを組み、実際の課題に取り組む「プロジェクト学習」や「地域課題解決型教育」を実施しています。地域の人々や企業からの課題、自分たちで見つけた地域の課題に対して、解決策を考え、提案し、行動することで、「自ら考えて一歩を踏み出す力」を育てています。
地域のお店と連携して開発した石炭をモチーフにしたお菓子「石炭クッキー」＝宇部高専提供
新しい価値を生み出す「アントレプレナーシップ教育」！
社会の変化や困難に対応できる新しいアイデアを生み出す力を育むため、「起業家精神（アントレプレナーシップ）」の教育にも力を入れています。
• 起業に関する動画視聴や講習会の実施
• 自分のアイデアを形にする「起業家工房」の設置
このような環境の中で、将来の起業や新しい価値づくりに挑戦できる学生を応援しています。
【宇部高専へのアクセス】
■バス
JR宇部新川駅から宇部市営バス 風呂ヶ迫行、ひらき台又は開・萩原行（循環）に乗車して高専グランド前下車徒歩３分（所要時間約２０分）
■自動車
新山口駅から車で約４０分、宇部駅から車で約３０分、山口宇部空港から車で約１５分