楽しみながら続ける 防災アクション10【ニュースがわかる9月号】

震源やマグニチュード どう調べる?【疑問氷解】

Q 地震の震源やマグニチュードはどうやって分かるの?(東京都三鷹市、小4)

各地の地震計データから計算

 A 地震が起きた後には、すぐにテレビでテロップが流れます。気象庁を訪ね、地震予知情報課の田中美穂さんに話を聞きました。

 「ブー」というブザーに続いて「地震です」というアナウンスが響いてきました。気象庁では24時間体制で地震を監視しています。気象庁を訪ねたこの日も、たびたびブザーの音が響きました。

 ひとたび地震が起きると、全国に置かれた地震計のうち、揺れを観測した地震計のデータが東京と大阪にある気象庁のコンピューターに瞬時に表示されます。このデータは、時間ごとに地震計に届いた揺れの大きさを表していて、ギザギザの波の形をしています。田中さんによると、コンピューターは集まってきた複数の波形のデータから、大まかな震源の位置を予想して、「仮にここを震源に○時○分に地震が起きたとすると、ここの観測点には□時□分に、あっちの観測点には△時△分に地震の揺れが届くはず」という計算をします。結果が実際の観測データと合うまで、仮定する震源の位置や発生時刻を変えながら何回も繰り返し計算するのです。田中さんは「たくさんの観測点のデータを使うので、計算と実際のデータがすべての観測点でぴったりと合うわけではありません。なるべく差が小さくなるように震源の位置と地震の発生時刻を探します」と説明します。

 地震が起きてからコンピューターが計算し、人が確認して、報道機関に連絡するまでわずか数分。震源の場所や深さによって津波の危険を見定めることができます。

 また、マグニチュードについてもこの波形のデータを使います。地震計で観測した最も大きな揺れの大きさと、震源からの距離を使って、計算で求めます。こちらも津波の高さを予測して警報を素早く出すのに有効です。【毎日小学生新聞編集部】(毎日小学生新聞2016年10月30日掲載)

ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とするの地震の津波警報を受けて閉鎖され、閑散とする大洗サンビーチ海水浴場=茨城県大洗町で2025年7月30日午後2時16分、井手一樹撮影

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