楽しみながら続ける 防災アクション10【ニュースがわかる9月号】

高専に行こう! 明石高専編

高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は明石高専を紹介!

 明石高専では、「オンキャンパスのグローバル化」を教育方針の一つとして掲げ、多様な価値観および国際的な視野を持つ学生の育成に力を入れています。
その取り組みの一環として、全4学科に1名以上、全体で1割以上、英語で専門教育を行う「EMI(English as a Medium of Instruction)教員」を配置し、語学としての英語学習に加え、一部の専門科目も英語で授業を行うことで、学生が自然に英語力と専門性を同時に高められる環境を整えています。また、外国人留学生の受け入れを積極的に進めており、来日した留学生は日本人学生と同じ授業を受ける「まぜる教育」を実践することで、日常的に国際交流が生まれるキャンパスとなっています。

充実のEMI教員たち(明石高専提供)


 このような環境が学生の留学意欲を高めており、毎年およそ100名が海外研修等に参加しています。「プログラム費用ゼロ」や「休学不要の留学制度」など、経済面・制度面でのサポートを充実させ、学生が安心して海外に挑戦できる体制を整えています。

 また、アクティブラーニングの実践にも力を入れており、入学直後の1年生前期から開講する「アクティブラーニング入門」を全員が受講し、高専5年間の学び方を学ぶとともに、協働の中で学ぶスタイルを身に着けます。2年生から始まる明石高専独自の教育プログラムである学年学科横断型PBL科目「Co+work(コープラスワーク)」では、2、3、4年生の全4学科の学生を、学科や学年の枠を超えて約40のチームに分け、教員1名がコーチング役として各チームを担当し、地域課題、社会課題を発見し、その解決に取り組むプロジェクト型の授業を行っています。

Co+work(コープラスワーク)の様子(明石高専提供)


 この授業にとどまらず、学生はさまざまな学習の場面において主体的に考え、行動し、実験や実習を通じて得た知識を活用しながら、実践的な問題解決能力を養っています。

 これらの取り組みは、先に示した「まぜる教育」という考え方に基づいており、年齢や国籍、専門分野の異なる学生同士が関わり合うことで、多様な価値観を尊重し合う力を育てています。
 このような5年間の教育を通じて、急速に変化する社会を生き抜くための力を着実に身につけています。その成果は、社会での実践力を測る「PROGテスト(対人基礎力・対自己基礎力・対課題基礎力を評価)」にも表れており、明石高専の4年生のスコアは、理系国立大学の同年代の平均スコアを大きく上回る成績を収めています。
 進路においては、卒業生の約6割が大学・大学院への進学を希望し、東京大学、京都大学、大阪大学などの難関国公立大学に多数進学しています。一方、就職希望者の就職率は100%で、大手企業をはじめとする幅広い業界で活躍しており、それぞれが、自らの夢を実現できています。卒業時の満足度調査では、9割を超える満足度を得ています。

【明石高専へのアクセス】
■JR魚住駅より(徒歩5分)
魚住駅に止まる列車は快速(明石駅以西は各駅停車)・普通です。
新快速をご利用の際は、大阪方面からお越しの場合は西明石駅、姫路方面からお越しの場合は加古川駅でお乗り換え下さい。

■山陽魚住駅より(徒歩10分)
山陽魚住駅には、特急は止まりません。
特急の場合、三宮方面からお越しの方は山陽明石駅、姫路方面からお越しの方は東二見駅でお乗り換え下さい。