高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は仙台高専を紹介!
実践的で創造的な人材育成 進学・就職率ほぼ100%
仙台高等専門学校は、仙台電波高専と宮城高専が、教育内容の充実と地域連携の強化などを目的に2009年10月に高度化再編し、広瀬キャンパスと名取キャンパスの2拠点体制で設立されました。さらに25年4月のコース再編により、総合工学科1学科9コースに生まれ変わりました。実践的で創造的なものづくりの発展に貢献できる人材育成を目指しており、卒業後の進学・就職率はほぼ100%です。また、専攻科には情報電子システム工学専攻と生産システムデザイン工学専攻が設置されており、より専門性の高い教育を受けることができます。
総合工学科には、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類の3類8コースと、4年次から選択可能な応用科学コースの計9コースがあります。Ⅰ類(広瀬キャンパス)には、情報システム・情報通信・知能エレクトロニクスと、情報・電子系の近い専門分野に特化した3コースを設けています。Ⅱ類(名取キャンパス)は電気電子・マテリアル・機械システム・情報と創造の4コースを設置しており、幅広い分野が融合したカリキュラムが特色です。Ⅲ類(名取キャンパス)は、建築の基礎から応用まで学ぶことができる建築デザインコースを単独で設置しています。その他、応用科学コース(広瀬・名取キャンパス)では、理学と工学との複眼的視点から社会に貢献できる科学技術者を育成します。
特筆されるのは、25年4月に新設された情報と創造コースの回遊型教育です。キャンパス外の拠点として仙台駅前に「仙台ベース」を設置し、学生たちはこの拠点を核に企業や地域を巡って現場の課題に取り組み、協働による実践的な学びを深めます。全国高専でも特徴的な試みであり、 課題の発見・解決能力を養い、社会で即戦力となる人材を育成することを目指しています。

情報と創造コースの授業風景(仙台高専提供)
多彩な課外活動 国際性を育む経験
高専ロボットコンテスト、プログラミングコンテスト、高専デザインコンペティション、英語プレゼンテーションコンテスト等で、毎年輝かしい成績を修めています。特に、本校独自のアントレプレナーシップ教育システムとその実践の場である起業家工房「アントレの巣」の整備に伴い、高専ディープラーニングコンテスト(DCON)、高専GIRLS SDGs×Technology Contest (GCON)、高専ワイヤレステックコンテスト(WiCON)等での上位入賞が続いています。また、部活動では、複数の運動部が毎年全国高専体育大会に出場しているほか、文化部も活躍しています。
国際交流にも注力しており、毎年多くの学生が海外インターンシップ等に参加しています。同時に、海外大学から多くの研修生を受け入れており、英語や海外の文化に触れる機会が多いことが特色です。
【仙台高専へのアクセス】
■広瀬キャンパス
JR仙山線愛子駅から徒歩15分
市営バス「仙台高専広瀬キャンパス入口」下車徒歩5分
■名取キャンパス
JR名取駅西口から路線バス「なとりん号」(愛の杜循環線、高舘線または相互台線)に乗車し「仙台高専名取キャンパス前」下車、徒歩5分