「戦後80年企画」80年前の子どもたち【ニュースがわかる8月号】

スクールエコノミスト2025 WEB【立正大学付属立正中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は立正大学付属立正中学校を紹介します。

中高6年間で総合的な人間力を育む、「R-プログラム」と探究学習の連携教育

<注目ポイント>

①「 調べる、読み取る、表現する」3スキルを伸ばすR-プログラム。

②目的を持った進路選択を促すため、職業講話や職業体験を実施。

③高校では探究学習に取り組み、発表会でプレゼンテーション。

「R-プログラム」で真の力を育成

 建学の精神に「行学二道(学んだことを行動に生かす)」を掲げる1904年創立の立正大学付属立正中学校。戦前は反戦ジャーナリストとして活躍し、戦後は内閣総理大臣にもなった石橋湛山が校長も務めた伝統校だ。

 中1から高1は、ショートホームルームの時間を活用し、「コラムリーディング」と「スピーチ」に取り組む「R-プログラム」を実施。同プログラムは、Research(調べる)、Read(読み取る)、Report(表現する)の3スキルの習得を目標に、レポート作成やプレゼンといった自分の意見を表現する力、グループワークによる協調性やコミュニケーション能力、相手の意見を受け入れる傾聴力などを身につける。題材は、国語科教員を中心に理科や社会科の教員も参加して、科学や社会の観点も取り入れて選定する。

 「日頃から生徒たちはiPadを使っているため、Researchには抵抗がありません。中学1、2年の段階ではResearchした内容をまとめて文章にし、中3になるとReportが加わり、みんなの前で発表をします。最初は恥ずかしさが先立って声が小さかったりしますが、次第に話すスピードや声のトーンなど、話し方を工夫するようになり、成長が感じられます」と国語科の田村光貴教諭は、R-プログラムの効果について語る。

中高6年間でキャリアデザイン

 R-プログラムのResearchのひとつが中学1年次から実施しているキャリアデザインプログラムだ。中1では、様々な分野で活躍する卒業生の話を聞く「職業講話」が開かれ、「社会で生きること」、「働くこと」について理解を深める。中2での「職業理解」は、個人やグループでのワークを通じて、商品が手元に届くまでの人と人、企業、社会全体のサプライチェーンなどについて学び、グループでまとめた考察内容を立正祭で発表する。そして、中3の夏休み前には「職業体験」を実施。40~50の企業・団体の協力を得て、1事業所に1〜3名の生徒が訪問し、実際に仕事を体験する。スーパーや飲食店、町工場、介護施設、警視庁など、受け入れ先は多彩。1日数時間3日間の体験だが、実務に携わることは、生徒たちにとって大きな学びとなり、自信に結びつき、将来の目標へとつながっていく。実務経験をレポートにまとめ、グループごとに報告動画を撮り、文化祭で披露した。

 「今の子どもたちの周囲にいる大人は親と教員くらいなのではないでしょうか。本校がキャリア教育に力を入れるのは、生徒たちが親や教員以外の大人と交流し、社会は様々な仕事・職業で成り立っていることを知ることが大切だと考えているからです。中3で実際に職場体験をし、社会や大人は怖くないということを体感することは非常に有意義なことです」と平林重郎高校教頭は語る。キャリアデザインプログラムを経て、生徒たちは将来を見据え、目的を持った大学進学を実現している。

探究学習、本校ホールでのプレゼンテーション