Q 納豆は腐っているのに、なぜ食べるとおいしいのですか。(大阪府寝屋川市、小3)
腐敗ではなく発酵 粘る糸がおいしく
A ネバネバと糸を引き、独特なにおいを放つ納豆。平安時代の書物にも登場するほど、日本人にとっては古くから親しまれている食べ物です。今、はやっている腸内環境を整える「腸活」にも良いと注目を集める納豆について、全国納豆協同組合連合会の広報担当の人に教えてもらいました。
そもそも納豆は腐っていません。納豆菌という微生物により発酵しているのです。活躍する微生物は異なりますが、みそやしょうゆ、ヨーグルト、チーズなども発酵食品です。
発酵と腐敗の違いの一つは、人によって管理されているか、いないかです。発酵は、温度や衛生管理をされているため、食べても体に害がありません。一方、腐敗は、人にとっての有害菌が多く繁殖しているため、食べることができません。
納豆菌とは、稲わらや枯れ草にくっついている枯草菌の仲間です。芽胞と呼ばれる殻をつくるのが特徴で、乾燥や熱に強いです。ちなみに納豆1グラム(2~3粒)の中には100億個もの納豆菌がすんでいます。
では、あの納豆のネバネバは、何なのでしょうか。納豆菌は大豆のたんぱく質と糖質を分解して増えていきます。その分解物の一つとしてあのネバネバの糸が出ます。納豆のネバネバの主成分はポリグルタミン酸とフラクタンです。ポリグルタミン酸は、昆布のうまみ成分でもあるグルタミン酸がつながったもの。まぜることで複雑に絡み合い、細く長く糸を引くような粘りが生まれます。まぜれば、まぜるほど、その糸がふっくらした状態になり、人間の舌がうまみをおいしく感じるのです。ちなみにあの粘りは風が吹かない室内だと10メートル以上伸びるというから、驚きです。
納豆づくりで大事なのは、温度管理です。煮た大豆に、納豆菌を溶かした液体を吹き付けて、38~42度で16~24時間温め、発酵させます。その後、納豆菌を休眠させるために、冷蔵庫に入れて、熟成させると完成です。
納豆は、成長期の小学生にとって重要な栄養分がたくさん入っています。納豆菌がつくり出す栄養分の代表格はビタミンK2です。このビタミンK2は、カルシウムを骨に吸着させるビタミンなので、骨が丈夫になります。また、納豆菌は腸内にすみつく善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えるため、整腸作用があると考えられ、おなかが弱い子にも向いています。そして、何よりも、大豆は「畑のたんぱく質」と呼ばれるほど、たんぱく質が豊富なため、毎日、元気いっぱいでいられます。1日1パックを目安に食べるとよいそうです。【毎日小学生新聞編集部・長尾真希子】
(毎日小学生新聞2021年4月21日掲載)

納豆の原料となる蒸した大豆=大阪府大東市で2020年7月、望月亮一撮影
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