Q 食品の包装紙などに書かれている栄養成分表示はどのように、はかっているのですか?(兵庫県、中3)
食品使って測定 計算する方法も
A 2015年4月、「食品表示法」という新しい法律が使われ始めました。食品にかかわる事業者に対して、原則として、すべての一般向け加工食品などに栄養成分の表示を義務づけました。食品の包装紙やパッケージに「栄養成分表示」を記載する必要があります。5年間の準備期間を経て、2020年4月から完全に義務化されました。
表示方法には決まりがあります。必ず「エネルギー(熱量)」「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ナトリウム」の五つを表示し、記載する順番も決まっています。ナトリウムは「食塩相当量」で表示します。これらの表示は製品を選ぶのに役立ちます。
このほか、食物繊維や糖質、ビタミンなどの栄養成分は、表示したい事業者が記載します。
これらの数値はどうやって調べているのでしょう。
消費者庁の事業者向けの指針では、実際の食品を使って栄養成分の数値を測定・分析する方法や、データベースを使って計算する方法を示しています。
分析では、食品をミキサーなどで細かく砕いて使いますが、栄養成分によって調べる方法は違います。たとえば、たんぱく質の場合、直接はかるのではなく、たんぱく質に含まれる窒素の量を調べます。食品によって違いますが、一般的に窒素の量はたんぱく質の16%とされています。食品に含まれる窒素の量を調べ、窒素の量に6.25の係数をかけて、たんぱく質の量を求めます。
ナトリウムの場合は、薄い塩酸などを使って食品からナトリウムを取り出し、装置などを使ってその量をはかります。脂質の場合は、食品から取り出し測定する方法がいろいろあり、食品の特性に合わせて使い分けます。こうした測定・分析は、事業者が自分で行う場合もあれば、専門の会社などに頼むこともあります。
計算で求める場合は、国の役所の文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版」のデータや、原材料メーカーから入手した数値などを使います。たとえば、サンドイッチの材料が、食パン60グラム、バター10グラム、マヨネーズ10グラム、トマト30グラム、キュウリ10グラムとします。食品標準成分表には材料となる食品それぞれの100グラムあたりのエネルギーや栄養成分の量が書いてあります。この数字を使って、サンドイッチのエネルギーや栄養成分の量を計算します。食品標準成分表にはたくさんの食品の栄養成分が載っていて、インターネットで検索もできます。【毎日小学生新聞編集部・木谷朋子】
(毎日小学生新聞2020年9月29日掲載)
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文部科学省の日本食品標準成分表をもとにしたデータベース。食品の名前を入力すると、エネルギーや栄養成分の量がわかります
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