「戦後80年企画」80年前の子どもたち【ニュースがわかる8月号】

なぜ、ひらがなとカタカナが?【日本語をもっとつかまえろ!】

国語の授業をたのしんでいますか? 毎日小学生新聞の連載「日本語どんぶらこ」では、人呼んで「ことばハンター」こと『三省堂国語辞典』の編さん者の飯間浩明さんが身近にあって気になる日本語をとりあげています。金井真紀さんのほっこりしするイラストとともに、ことばの語源や新語や流行語など、気になることばをわかりやすく解説。ことばに関する疑問やモヤモヤがすっきりすると好評です。
この春、連載をまとめた最新刊『日本語どんぶらこ ことばは変わるよどこまでも』が発売されましたが、ことばに興味を持ったあなたも、国語に苦手意識があるあなたも、ことばの森で遊んでみませんか? ここでは既刊の『日本語をつかまえろ!』、『日本語をもっとつかまえろ』から、気になるコラムを一部ご紹介いたします。

 平安時代の初め(9世紀ごろ)に、ひらがなとカタカナが広まりました。どちらも漢字から作られたものです。

 ひらがなは女性が多く使った文字なので、「女手おんなで」と呼ばれました。それが、後に「平易へいい(=簡単)な文字」という意味で「平仮名ひらがな」と呼ばれるようになりました。
 カタカナは漢字の一部分などを利用して作ったので、「不完全な文字」という意味で「かた(=不完全)仮名」と呼ばれるようになりました。仏教を学ぶお坊ぼうさんたちが使ったのが、カタカナの始まりです。

 同じ日本語を書き表すのに、2種類の文字を使うのはふしぎです。なぜ、ひとつですませなかったのか。それは、ひらがなとカタカナが、別々の目的で作られたからです。
 ひらがなは、手紙などの文章を書くのに使いました。文章を書くには、長く続けて書きやすい文字が必要です。それで、流れるような曲線のひらがなが完成しました。
 一方、カタカナは、お経を読んでいたお坊さんがメモに使ったのが始まりです。
お経の文章に、漢字の送り仮名などをメモとして書き入れました。メモしやすいように、記号的なカタカナの形が完成しました。

 こうして、仮名の種類が2つになりました。現在、ひらがなは一般いっぱん的な日本語を書くのに使い、カタカナは外来語や擬音語ぎおんご擬態語ぎたいごなどに使います。仮名が2種類あるおかげで使い分けられるのは、とても便利です。

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日本語をもっとつかまえろ!

著者:飯間 浩明 イラスト:金井 真紀 出版社:毎日新聞出版 定価:1,540円

本書の目次


第1章 日本語には仮名がある
第2章 ややこし楽しい漢字
第3章 くり返すための記号
第4章 言える形と言えない形
第5章 あなたと私の秘密
第6章 作文を書く、詩を書く
第7章 時代は変わっていく
第8章 みんなに優さしいことば
第9章 料理はことばが大事
第10章 方言でかんちがい
第11章 落語のたのしみ方
第12章 12ひきの仲間たち
第13章 色の名前もいろいろ

著者プロフィール

飯間浩明(いいま・ひろあき)
1967年、香川県生まれ。国語辞典編さん者。
『三省堂国語辞典』編集委員。国語辞典の原稿を書くために、新聞や雑誌、放送などから新しいことばを拾う毎日。街の中にも繰り出して、気になる日本語の採集を続ける。国語辞典を楽しむイベント「国語辞典ナイト」でも活躍。おもな著書に『辞書を編む』『小説の言葉尻をとらえてみた』(ともに光文社)『国語辞典のゆくえ』『つまずきやすい日本語』(ともにNHK出版)『ことばハンター』(ポプラ社)『知っておくと役立つ街の変な日本語』(朝日新聞出版)などがある。

金井真紀(かない・まき) 
1974年、千葉県生まれ。文筆家、イラストレーター。「多様性をおもしろがる」を合い言葉に世界各地で人の話を拾い集めて、文や絵にしている。おもな著書に『世界はフムフムで満ちている』(ちくま文庫)『はたらく動物と』(ころから)『パリのすてきなおじさん』(柏書房)『子どもおもしろ歳時記』(理論社)『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)『テヘランのすてきな女』(晶文社)などがある。