Q なぜグミは固まるの?(福島市、小4)
冷やすと固まる 温度の違い活用
A 独特な食感のグミは、砂糖、水あめ、ゼラチン、水、果汁などでできています。食感の秘密はゼラチンにあります。砂糖や水あめを水に溶かして冷やしただけでは固まりませんが、ゼラチンを加えて冷やすと固まります。ゼラチンの量が多ければ多いほど、硬くなります。
2023年に発売35周年を迎える「果汁グミ」をつくっている「明治」の商品開発研究所、高宮隆一さんに聞きました。グミが固まるのは「冷やすと固まるゼラチンの性質を利用している」といいます。
ゼラチンは水に溶かして温めると、ドロドロした液体状になります。温かいゼラチンを冷やすと、ゴムのような状態で固まります。「ゼラチンはもともと三つ子のような形のたんぱく質です。温かいと、3人は手を離して自由に遊びまわるのですが、寒くなると手を取り合って動かなくなります。これがゼラチンの固まる原理です」
ゴムのような性質を弾性といいます。ゼラチンのほかにも、料理には凝固剤として寒天やアガーが使われます。「寒天やアガーの多くは、固まったときの弾性が少なく、グミ独特の食感が出にくいです。また寒天やアガーは固まった状態で長期間置いておくと、固まるときに一緒にかかえた水を放り出す特徴があります。水を放り出してしまうと、表面がベタベタになってしまいます。ゼラチンは、このような性質が少ないので長期間保存して食べるグミに使うのに適しています」
ゼラチンは動物の皮や骨などに含まれるコラーゲンを煮て、取り出したものです。寒天は海藻のテングサなどを煮て固め、凍らせて乾燥させたものです。「ゼラチンはアミノ酸がたくさん手をつないだたんぱく質。寒天は糖類がたくさん手をつないだ多糖類というものです。じつは英語で寒天のことをアガーといい、英語圏では区別されていません。日本では海藻からとれた多糖類を寒天と言い、アガーは海藻に加えて豆類などの多糖類も含めてアガーと呼んでいることが多いです」
それぞれ固まる温度も違います。ゼラチンは室温(30度前後)、寒天やアガーは種類によって50~90度程度で固まります。ゴムのような食感にはゼラチンが、みずみずしくのどごしがよいゼリーのような食感には寒天・アガーが適しているそうです。【毎日小学生新聞編集部・篠口純子】
(毎日小学生新聞2023年1月16日掲載)
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