国語の授業をたのしんでいますか? 毎日小学生新聞の連載「日本語どんぶらこ」では、人呼んで「ことばハンター」こと『三省堂国語辞典』の編さん者の飯間浩明さんが身近にあって気になる日本語をとりあげています。金井真紀さんのほっこりしするイラストとともに、ことばの語源や新語や流行語など、気になることばをわかりやすく解説。ことばに関する疑問やモヤモヤがすっきりすると好評です。
この春、連載をまとめた最新刊『日本語どんぶらこ ことばは変わるよどこまでも』が発売されましたが、ことばに興味を持ったあなたも、国語に苦手意識があるあなたも、ことばの森で遊んでみませんか? ここでは既刊の『日本語をつかまえろ!』、『日本語をもっとつかまえろ』から、気になるコラムを一部ご紹介いたします。
「亜米利加(アメリカ)」「英吉利(イギリス)」「独逸(ドイツ)」「仏蘭西(フランス)」など、昔は、国の名前に漢字を当てて書きました。これは、もともと、中国の書き方をまねたものです。
中国語での国名の書き方は、日本語と少しちがいます。アメリカは「美利堅」、ドイツは「徳意志」、そしてフランスは「法蘭西」です。そんなわけで、中国ではアメリカをふつう「米国(べいこく)」でなく「美国(めいぐお)」と呼びます。
日本語と中国語で同じように書く国名も、もちろん、たくさんあります。インドは「印度」、スペインは「西班牙」、ルーマニアは「羅馬尼亜」です。日本語が中国語を取り入れたので、当たり前なんですけどね。
では、ここでクイズを出します。「阿爾巴尼亜」は何と読むでしょうか? 中国語で、ある国の名前を漢字で書いたものです。
このクイズは、中国語で国名を書くとき、よく使う漢字を知っていれば分かります。

中国の外務省のホームページで、国名の一覧を見てみましょう。どんな漢字が多く使われているのでしょうか。
一番は「亜(ア)」という字で、「肯尼亜(ケニア)」など38回出てきました。
そのほか、「斯(ス)・尼(二)・巴(バ)・爾(ル)・利(リ)……」なども15回以上使われていました(ここでつけたフリガナは、国名を日本語でカタカナにしたときの発音です)。
これで、「阿爾巴尼亜」も読めるはずです。「阿」は「ア」です。その後は分かりますね。そう、正解は「アルバニア」です。
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日本語をつかまえろ!
文:飯間 浩明 絵:金井 真紀 出版社:毎日新聞出版 定価:1,540円
本書の目次
第1章 響きとリズム
第2章 漢字と仮名と
第3章 集団内のことば
第4章 こんな言い方もできる
第5章 相手に届くことば
第6章 国語辞典の楽しみ
第7章 ことばは変わる
第8章 地名は面白い
第9章 令和と万葉集
プロフィール
飯間浩明(いいま・ひろあき)
1967年、香川県生まれ。国語辞典編さん者。
『三省堂国語辞典』編集委員。国語辞典の原稿を書くために、新聞や雑誌、放送などから新しいことばを拾う毎日。街の中にも繰り出して、気になる日本語の採集を続ける。国語辞典を楽しむイベント「国語辞典ナイト」でも活躍。おもな著書に『辞書を編む』『小説の言葉尻をとらえてみた』(ともに光文社)『国語辞典のゆくえ』『つまずきやすい日本語』(ともにNHK出版)『ことばハンター』(ポプラ社)『知っておくと役立つ街の変な日本語』(朝日新聞出版)などがある。
金井真紀(かない・まき)
1974年、千葉県生まれ。文筆家、イラストレーター。「多様性をおもしろがる」を合い言葉に世界各地で人の話を拾い集めて、文や絵にしている。おもな著書に『世界はフムフムで満ちている』(ちくま文庫)『はたらく動物と』(ころから)『パリのすてきなおじさん』(柏書房)『子どもおもしろ歳時記』(理論社)『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)『テヘランのすてきな女』(晶文社)などがある。