「フラガール」でおなじみの「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)。実は、このレジャー施設と渋沢栄一には意外なつながりがあるのです。その由来について、常磐興産株式会社の西澤順一会長にお話をうかがいました。
1884年、はじまりは明治時代の炭鉱
渋沢栄一は炭鉱の経営にも関わっていました。石炭は鉄道や発電などの動力源として、生活と産業に欠かせないものでした。1884(明治17)年、渋沢は発起人の一人となって磐城炭礦社(現在の常磐興産)を設立します。
渋沢栄一は44歳で会社を設立。約25年にわたり、会長をつとめた
本州最大の埋蔵量を誇るいわき地方(福島県)で本格的な石炭採掘が始まると、首都圏や東北各地などから注文が入り、大いに発展しました。ところが、1950年代以降、石炭から石油へのエネルギー転換が起こり、炭鉱は閉山の危機に。
働く人々と地元の経済を守るためにはどうしたらいいのか。そんな中で「日本のハワイ」構想が浮上し、炭鉱では悩みだった大量の温泉水を活用する「常磐ハワイアンセンター」が誕生することになったのです。
「スパリゾートハワイアンズ」への大転換
「1000円持ってハワイに行こう」というキャッチフレーズとともに「常磐ハワイアンセンター」は大人気となり、58年たった今では六つのテーマパークと四つの宿泊施設がある「スパリゾートハワイアンズ」へと進化しています。
フラガールのショーは昼と夜に毎日開催されている。フラダンス、タヒチアンダンス、ニュージーランドやサモアのダンスなど多彩なステージ。2024年現在は50~60期生のダンサーたちが笑顔と勇気を届けてくれる
ずっと変わらないのは華やかなポリネシアンショーです。「人まねはしない。すべて自前でやる」という開業時からの精神のもと、フラガールは常磐音楽舞踊学院という専門校で育成されています。1期生がステージに立つまでのドラマは、映画『フラガール』で描かれています。
炭鉱から観光へ。「ここにしかないものを作ろう!!」
常磐興産株式会社
西澤順一会長
「炭鉱から観光へ」というチャレンジ精神、「ここにしかないものを工夫して作ろう」というマインドセットは、渋沢栄一翁のダイナミズムとも共通していると思います。私自身が「論語と算盤」の中で好きなフレーズは、「名を成すは常に窮苦の日に在り 事を敗るは多く得意の時に因す」。困難を乗り越えてこそ、いい仕事は成しとげられると捉えています。
渋沢翁の魅力は物まねではない自分なりの考えを常に持っていたこと。それは子どもの頃の読書に人生経験が積み重なったことで培われたものではないでしょうか。9~15歳ぐらいに読んだ本は一生忘れないもの。皆さんもたくさんの本と出会い、あなたならではの世界をつくってください。
写真提供 : 常磐興産株式会社、国立国会図書館デジタルコレクション
※この内容は、2024年8月5日発売のNewsがわかる特別編「渋沢栄一がわかる改訂版」から一部抜粋して掲載しています。
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フラガールと渋沢栄一の意外なつながりとは?【渋沢栄一がわかる改訂版】
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