国技と言われ、日本の伝統文化でもある相撲。1500年以上前から続く相撲の魅力や素朴な疑問を、「大相撲中継」の編集長である北出幸一さんが答えてくれる「教えて編集長!」。今回のキーワードは「土俵祭り」です。
本場所初日の前日に、土俵を清め本場所の安全を祈願するのが土俵祭りなんだ。コロナ禍以前は横綱、大関と三役力士に日本相撲協会の理事長や審判部長以下の審判委員の親方らが出席して神事が行われだけど、今は力士の出席は見合わせているよ。
土俵祭りを祭主として執り行うのが立行司だ。衣冠束帯(いかんそくたい)姿となって祝詞(のりと)を奏上するんだ。
方屋開口は祭主が口上を述べて土俵開きを行うことなんだ。編集長もコロナ禍以前は、土俵祭りをよく取材したよ。みんな口上の一部を紹介しよう。
「天地(あめつち)開け始まりてより、陰陽(いんよう)に分かれ、清く明らかなるもの陽にして上にあり、これを勝ちと名付く。重く濁れるもの、陰にして下にあり、これを負けと名付く」。
昔の言葉でみんなには少し難しかったかな。勝ちが「清く明らか」で、負けが「重く濁れる」と言っていて、勝負の厳しさだと編集長は考えているよ。
勝ち栗や米、昆布などで、土俵にお招きした相撲の神様へのご供物になるんだ。和紙に包んで土俵に開けた四角の穴に埋めるんだ。
だから本場所が開かれる15日間は、相撲の神様が土俵で取組が安全に行われるように見守っているんだよ。みんな感謝しないといけないよ。
大相撲の中継放送では、なかなか紹介できないけれど、本場所の千秋楽に会場で相撲を観戦したみんなはよく見る光景だね。
これは本場所の15日間、土俵上にあって勝負を見守っていた相撲の神様を天に送り返す儀式なんだ。ご幣(へい)を持って小柄な行司さんが胴上げされることが多いよ。