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【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

隅田川大会は4年ぶりに 花火の歴史や見方を教えて【ニュース知りたいんジャー】

東京の夏の風物詩「隅田川花火大会」が7月29日に4年ぶりに開かれ、約2万発の花火が夜空を彩りました。花火の歴史やおすすめの見方について、全国の花火会社でつくる「日本煙火協会」の河野晴行専務理事に聞きました。【田嶋夏希】

◇なぜ久しぶりの開催?

 新型コロナの影響で2020~22年の3年間、隅田川花火大会は中止となりました。隅田川周辺に100万人前後の見物客が集まり、密集を避けられないというのが理由です。全国の花火大会も相次いで中止になりました。

 この間、仕事がなくなってしまった花火屋さんを救うため、また人々を元気づけるため、「サプライズ花火」が各地で企画されました。人が集まるのを避けるため、打ち上げ場所や時間を事前に知らせないのが特徴でした。

 4年ぶりの隅田川花火大会は、花火屋さんだけでなく、経済効果が見込まれる会場周辺のお店などからも歓迎されました。

◇どうやって丸く開くの?

 中に火薬を詰めた花火玉を、打ち上げのための火薬と一緒に筒に入れ、火薬に火をつけて打ち上げます。上空で中の火薬にも火がつくと、花火玉は球状なので、花火は丸く大きく開きます。アメリカやヨーロッパで作られる花火は円筒形で、丸く開かないものが多いそうです。

 図の星に配合する薬品の種類や割合を変えることで、花火の色や光、音などが変わります。花火玉の中で、星をハートの形に並べると、上空にハートの形ができます。

 花火玉の大きさは2・5号から40号まであります。一番大きな40号は、玉の直径が約114㌢㍍もあり、打ち上げられて開いた花火の直径は750㍍にもなります。

◇いつからあるの?

 日本煙火協会がまとめた資料「花火入門」によると、12世紀ごろの中国で、戦のための火薬が、大きな音が鳴る爆竹のような花火として使われるようになったといいます。それがヨーロッパなどへ伝わったと考えられています。日本には戦国時代、鉄砲と一緒に火薬が伝わりましたが、花火として使われるようになったのは江戸時代です。

 江戸時代には、暑い夏に水辺に夕涼みに行くことが多く、庶民も楽しめる水辺のイベントとして、夏の風物詩になりました。17世紀に隅田川に両国橋がかかり、この周辺が花火の名所となり、今の隅田川花火大会につながっています。

 江戸時代の花火は、するするとのぼって落ちてくる、線香花火の色のような単色のものでした。明治時代にヨーロッパから化学薬品が入ってきて、カラフルな今の花火の原形ができあがりました。今ではコンピューターを使い、打ち上げを100分1秒のタイミングでコントロールし、より効果的な演出ができるようになっています。

◇有名な大会は?

 たくさんの観客が訪れ、「日本三大花火」とも言われる有名な花火大会は、秋田県の「大曲の花火」、新潟県の「長岡まつり大花火大会」、茨城県の「土浦全国花火競技大会」です。いずれも歴史が長く、打ち上げ場所が広いことから実現できる、スケールの大きな構成や花火が魅力です。

 この他にも花火大会は全国で毎年およそ1000か所以上で行われていて、皆さんの家の近くでも見ることができると思います。「規模はそれほど大きくなくても、すてきな花火大会が近くで見つかることもあるので、ぜひ探してみてほしい」と河野さんは言います。

◇もっと楽しみたい!

 河野さんは、近くで見なくても、そして全部見なくても楽しめると言います。
 花火をなるべく近くで見られるように、混雑の中を進んで行く人もいるかもしれません。でも、映画館で一番良い席は真ん中からちょっと後ろと言われるように、花火も間近ではなく、全体を見渡せるところが一番良い場所です。400~500㍍ほど離れた場所を探しましょう。音が1秒とちょっとくらいずれて届くところが目安です。風の方向を見て、花火の煙が次の花火にかからないところを見つけられれば完璧です。

 名残惜しく思いながら、途中で帰る人もいるかもしれません。花火大会は、起承転結を考えたプログラムが作られていて、最後には観客に余韻を残すために、幅の広いものなど、目玉の花火が打ち上げられる傾向にあります。でもそれぞれの場面に見どころはあるので、全部を見られなくても十分楽しめると河野さんは強調します。

(2023年08月02日毎日小学生新聞より)