【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

「エルニーニョ現象」どんな現象?名前の由来は?【天気のふしぎ】

日本では長雨や冷夏の原因といわれている「エルニーニョ現象」。世界でも過去、エルニーニョ現象が発生したことで、洪水や干ばつなどの世界中の気候に影響を及ぼしたり、海水温の変化で回遊魚の行動も変化させ、農業や漁業にも深刻な被害をもたらし、食糧問題にも影響を与えてきます。異常気象が発生すると、問題視される「エルニーニョ現象」ですが、「エルニーニョ」という呼び名、その由来についてみてみましょう。

※本記事は日本雑学研究会『お天気のミステリー』(毎日新聞社)から一部抜粋・再編集したものです。

 南米ペルー沖から日付変更線にかけての太平洋東部海域で、海水温が平年に比べて高くなる。これを「エルニーニョ現象」、あるいは単に「エルニーニョ」と呼びあらわされます。この現象は、世界中に異常気象をもたらすとされています。

 もともとエルニーニョは、けっして異常な気象ではなく、毎年、ペルー沖で繰り返される海の現象に対する呼び名でした。

 南米ペルー沖では、9月ごろから、海の深い部分の冷たい水が上昇してくる。これを「湧昇(ゆうしょう)」といいます。この湧昇は赤道の両側で起こる現象ですが、ペルー沖のように、沿岸で起こる湧昇を「沿岸湧昇」という。赤道付近を吹く偏東風が暖かい海水を西太平洋のほうへ運び去るので、その不足分を補うべく、海の深部の冷水が海面に湧きあがってくるメカニズムとなっています。

 ペルー沖は世界有数の漁場で、とくにアンチョビー(片口イワシ)の漁場として有名である。冷水が湧きあがり、アンチョビーが集まってきます。湧昇は12月に入ると、そろそろ終わりとなり、海面水温が上昇してくる。海が暖かくなるとアンチョビー漁も休みとなり、漁獲が少なくなります。

 クリスマスのころになると、海水温はかなり上がってきます。漁民たちは海水面が暖かくなるその現象を「コリエンテ・デル・ニーニョ」(神の子の流れ)と呼びました。「コリエンテ」とは流れ、海流という意味で、暖水が流れこんで暖かくなることを指しています。「ニーニョ」は幼児、子どものことですが、「ニーニョ」を大文字で書くと、神の子すなわちイエス・キリストを意味することになりますす。イエスが生まれたクリスマスのころに、暖水が流れこんで暖かくなるために、そのように呼んだのです。のちに略され、定冠詞のエル(el)をつけて「エルニーニョ」と呼ばれるようになりました。
それがエルニーニョの元来の意味でした。