優勝額の作り方【大相撲中継キッズ】

優勝額はどうやって作るの?

国技と言われ、日本の伝統文化でもある相撲。1500年以上前から続く相撲の魅力や素朴な疑問を、「大相撲中継」の編集長である北出幸一さんが答えてくれる「教えて編集長!」。今回のキーワードは「優勝額」です。

Q 編集長、国技館の天井近くにあるお相撲さんの大きな写真は何?

A それはね、幕内で優勝した力士に毎日新聞社が贈っている優勝額だよ。縦3.17メートル、横2.265メートルで畳約5畳分もあって、重さは約60キロ。実物のお相撲さんと比べても、額の方が大きいんだよ。

Q そんなに大きな優勝額を、どうやって作るの?

A まず、優勝力士の撮影から始めるんだ。都内のスタジオに来てもらってプロカメラマンが化粧まわし姿をデジタルカメラで撮ります。プリントは富士フイルムの工場で屋外広告でも使う色のあせにくいインクと丈夫なシートを大型のデジタルプリンターにセットして印刷するんだよ。表面にはプラスチックフィルムを張って、傷や汚れから保護します。最後は別の工場でアルミのフレームにはめ、木目調のシールをフレームに貼って完成。国技館へはトラックで運ばれてきて、4人がかりで中に入れます。今はカラー写真を使っているけれど、カラー写真を大きくプリントする技術がなかったころは、白黒フィルムで撮った写真を3つに分けてプリントしてからつなぎ合わせ、その上から油絵具で着色していたんだ。この方式は、優勝額が復活した昭和26年春場所から平成25年九州場所まで、62年間続きました。彩色を担当したのは佐藤寿々江さん、ただ1人、2年前に88歳で亡くなっています。

Q 編集長、優勝額はいつから贈られているの?

A 明治42(1907)年に優勝制度が始まってからだから、111年前からだね。当時は時事新報社という新聞社が贈っていたけど、毎日新聞社が引き継いで、戦争中と占領下を除き、今まで続けているんだ。

Q 編集長、優勝額は誰のものなの?

A 優勝力士本人のものなんだよ。年に3回ある東京場所の初日前日、土俵祭りのあとの午前10時20~30分に、国技館正面玄関で優勝額の贈呈式が行われ、その時点で本人に所有権が移るんだ。そのあと直ちに国技館の天井付近にワイヤーでつり上げられ、地震が来ても動かないようにしっかり固定されます。除幕式は翌日の場所初日。それから5年と2場所の間、優勝額は土俵を見守り、ファンの皆さんに見てもらいます。新しい額と入れ替えられて、地上に下ろされたあとは、JR両国駅をはじめ学校や市役所などの公共施設から相撲部屋、神社仏閣、博物館、個人の住宅などさまざまな場所で飾られているんだ。贈呈式は入場無料で見学できるんだよ。ちなみに、2021年1月の初場所で初優勝した小結大栄翔が5月8日、東京・両国国技館に飾られる優勝額の贈呈式に出席した。3月の春場所を制した大関照ノ富士とともに同国技館で記念写真に納まった大栄翔は、間近に優勝額を見て「大きさに驚いた。2場所前だけど改めて優勝の実感を味わえた」と喜んだ。

 大相撲中継(毎日新聞出版)は、2カ月に一度の本場所前に発行されている雑誌で、夏場所号が好評発売中。定価は1,100円。「教えて編集長!」はもちろん、魅力的な企画が盛りだくさんです。ぜひ手に取ってみてください。 

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