大阪・関西万博まるわかりガイド【月刊ニュースがわかる7月号】

受験対策のプロが解説! 時事問題攻略2025【6月号】

 第二次世界大戦が終結、国際連合発足から80年

◆国際連盟の失敗と国際連合の誕生

 2025年は、第二次世界大戦が終わり、国際連合が発足してから80年になります。
 ところで、「国際連盟」「国際連合」の違いをご存じでしょうか。どちらも世界の平和を守るために作られた組織ですが、実は大きな違いがあります。

 国際連盟は、第一次世界大戦の終結を受けて1920年に設立されました。アメリカのウィルソン大統領が提唱したものですが、アメリカは参加しませんでした。本部はスイスのジュネーブにあり、日本も常任理事国として重要な役割を果たしました。
 しかし、国際連盟には課題がありました。


・重要な決定は加盟国の全員が賛成しないといけないため、意思決定が難しかった。
・紛争を解決する軍隊がなく、効果的に対応できなかった。


 これらの理由から、国際連盟は第二次世界大戦を防ぐことができませんでした。
 日本は国際連盟の常任理事国として活動していましたが、1931年の満州事変をきっかけに、満州国を建国しました。これに対し、国際連盟は日本を非難し、日本は1933年に正式に脱退しました。このことは、国際連盟の影響力の低下につながりました。

 第二次世界大戦の反省をふまえ、1945年に国際連合が設立されました。アメリカ、イギリス、ソ連、中華民国が中心となり、世界の平和と安全を維持することを目的としています。本部はアメリカのニューヨークに設置され、最初は51か国が加盟しましたが、2025年5月時点で193カ国に増えています。
 国際連合には、国連総会や安全保障理事会などの重要な機関があります。特に、安全保障理事会には5か国(中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカ)が常任理事国として属し、強い権限を持っています。

 日本は1956年に国際連合に加盟しました。当時、冷戦の影響で中国やソ連の反対がありましたが、日ソ共同宣言によって国交を回復し、加盟が実現しました。この出来事は、日本が国際社会に戻る重要な転機となりました。

国際連合の旗

◆中学入試での出題ポイント

 出題されるポイントは次の3点。(1)国際連盟と国際連合の設立目的や仕組みの違い(2)国際連合の主要機関(3)日本の国際連合加盟――についてです。知識を問う問題に加え、記述を求めることもありますので、きちんとした理解が必要です。それぞれについて、以下で簡単に解説するので、【 】で囲った部分のキーワードは押さえておきましょう。

 まず(1)について、国際連盟は第一次世界大戦後の【1920年】に設立されました。その目的は、戦争の再発を防ぎ、国際紛争を平和的に解決することでした。しかし、加盟国の決定には【全会一致】が必要であり、強制力が弱かったため、紛争解決の実効性に欠けていました。
 一方、国際連合は、第二次世界大戦後の【1945年】に設立されました。国際連盟の反省を踏まえ、【多数決】【3分の2以上の賛成】で決定することで、迅速な意思決定を可能にしました。(1)については、【 】で囲ったキーワードを押さえておきましょう。

 次に(2)についてです。国際連合(国連)は、世界の平和と安全を維持することを目的としています。その中核を担うのが、総会、【安全保障理事会】、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、そして事務局の6つの主要機関です。
 総会は、すべての加盟国が参加し、国際問題について議論する場であり、各国の意見を反映した決議を採択します。一方、【安全保障理事会】は、国際平和と安全を維持するための決定機関であり、特に【常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)】【拒否権】を持つことで知られています。
 また、経済社会理事会は、経済や社会、人権問題を扱い、世界遺産の登録などを担当する【UNESCO(国連教育科学文化機関)】や国際的な健康問題を扱う【WHO(世界保健機関)】などの専門機関と連携して活動を行います。

 最後に(3)について。日本は【1956年】に国際連合に加盟し、戦後の国際社会への復帰を果たしました。加盟に至る背景には、第二次世界大戦後の復興と国際的な信頼回復の必要性があり、【日ソ共同宣言】を経て承認されました。
 国連における日本の役割は多岐にわたり、【非常任理事国】として何度も選出され、国際政治の場で積極的に発言してきました。非常任理事国は任期2年で、全加盟国による秘密投票により選出され、連続して任期を務めることが認められておらず、毎年半数が改選されます。日本は、さまざまな国の間の『架け橋』となり、国際の平和と安全のためにより積極的に役割を果たしていくため、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指していると言えるでしょう。

 また、日本は【PKO(国連平和維持活動)】にも関与し、カンボジアや東ティモールなどで自衛隊を派遣し、停戦監視や復興支援を行いました。財政面でも日本は重要な役割を担い、国際連合への分担金は世界でも上位に位置します。これらの活動を通じて、日本は国際平和と安定に貢献し続けています。

 中学入試では、たとえば「国際連盟の意思決定方式は?」「日本の国連加盟の経緯は?」といった問題が出題されるかもしれません。最近では安全保障理事会改革やPKO活動もニュースなどで話題になり、時事問題と絡めた出題も予想されます。

国際連合はアメリカのニューヨークに本部があるほか、スイスのジュネーブ、オーストリアのウィーン、ケニアのナイロビに地域事務所がある

記事を書いた人:菅原 祐二(すがわら・ゆうじ)
株式会社ミライクリエ代表。大手進学塾で、中学受験・高校受験最難関レベルの指導を担当。御三家をはじめ多数の難関校に合格実績をもつ。また、管理職として塾運営部門及び受験部門の担当も従事。そのノウハウを活かした様々な研修経験も豊富で、教育にまつわる様々なテーマで講演も行う。
現在は、”未来を想像し、創造する”を理念としSDGsをはじめとしたサステナビリティ教育事業・STEAM教育を中心に、支援・促進。教科書だけで学ぶことのできない本質的な学びの場を提供し、「持続可能な社会」への貢献を目指している。

【株式会社ミライクリエのホームページ】
https://mirai-crea.hp.peraichi.com/corporatesite/

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