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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

「じゃがいも1袋」を正しく栄養素に変換するアプリを開発【起業家から君へ】

話を聞いたひと 小原一樹(おはら かずき)さん シルタス代表取締役

週刊エコノミストで連載中の「挑戦者2022」。優れたアイデアや斬新なサービスで世の中を良くしようとする企業の取り組みを紹介しています。本サイトでは、誌面で紹介された「挑戦者」たちがどんな子どもだったのかを聞きました。※エコノミストオンライン「挑戦者2022」はこちら

スーパーで買い物をするだけでアプリが自動的に食事管理をしてくれる。「無理せずゆるく」が最大の特徴だ。

買い物データを基に世帯ごとの食事内容を管理し、不足している栄養素を特定して必要な食材やレシピを提案するアプリ「SIRU+(シルタス)」を開発しています。自治体などと提携し、生活習慣病などの健康課題を解決する取り組みを進めています。

類似の食事管理ツールと異なるのは「何を食べたか」ではなく、「何を買ったか」に注目している点です。実際に食卓に並んだメニューのデータから使われている栄養素を特定するのは難しく、かといって写真を撮って記録したり材料を入力したりするのも面倒です。

当社はスーパーのポイントカードと連携し、個々の属性と買い物履歴が分かる「ID-POS」と呼ばれるデータを自動的に取り込めるようにしています。

数件の特許を取得しています。主要な技術は二つ。一つは、買い物データとして登録される商品名を栄養素に変換する技術です。例えば「タマネギ1袋」であれば、その時点のその地域の市場価格や店舗の販売価格の統計から個数や重さを割り出します。総菜売り場の「幕の内弁当」であれば、平均的な「幕の内弁当」の内容やその店舗の個別データから、栄養素の含有量を判別します。現時点でスーパーに置いてある商品の90%を正しく変換できています。

■こどもの頃はどんな性格でしたか。

何でも「なぜ?」と疑問を持つ子どもでした。疑問に思ったことは、人に聞いたり自分で調べたりと、必ず解決するようにしていました。

例えば、「円錐の体積の求め方は、半径×半径×円周率×1/3」と小学6年生で習うと思いますが、1/3だと覚えなさいでは納得できず、なぜ1/3なのかを理解できるまで調べていました。

こどもの頃の夢を教えてください。

同い年の幼馴染が小学生の時に病気で亡くなってしまったのがとてもショックで、同じような気持ちになる人を減らしたいと思い、医学の道に進みたいと思っていました。

こどもの頃によく読んでいた本があれば教えてください。

「世界の名作シリーズ」や「科学の本」をよく読んでいましたが、一番記憶に残っている本は『命の暗号』(村上和雄著・サンマーク出版)です。

仕事をしていてよかったこと、大変だったことを教えてください。

よかったことは、仕事をすればするほど知らないこと、知らない世界が広がっていくことです。新しい知識が増えたり、新しい世界に触れられることが楽しいです。また、僕は起業して世界初のサービスを開発しているのですが、新しい価値を世界の人に広められることが一番のやりがいです。

大変なことは、チーム作りです。仕事は自分1人では成し遂げられないことばかりです。僕は社長という立場なので、同じ目標を持った仲間を集めて、みんなが働きやすい環境を作っていくことが僕の仕事ですが、一人一人好きなものも嫌いなものも違うので、全員が幸せになるにはどうしたらいいか、いつも頭を悩ませています。

子どもたちにメッセージをお願いします。

固定概念にとらわれずに、何事にも疑問を持ち、自分自身で解決する癖を見つけると良いと思います。また、多くの方が日本に生まれて日本で生活していると思いますが、世界に目を向けるようにしてみてください。そうすることで、自分の世界が広がるだけでなく、自身で考え選択できる力が身につくはずです。

自分で選択していないことに対しては、不満や愚痴が出がちです。当たり前のことでも、なぜ自分はその選択をするのかを考え、その選択に責任をもって、より自由に力強く生きてほしいです。選択することは大変ですが、その大変さを楽しんでほしいです。