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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

ビッグデータとAIが不動産価値を見極める【起業家から君へ】

話を聞いたひと 巻口成憲(まきぐち しげのり)さん リーウェイズ代表取締役CEO

週刊エコノミストで連載中の「挑戦者2021」。優れたアイデアや斬新なサービスで世の中を良くしようとする企業の取り組みを紹介しています。本サイトでは、誌面で紹介された「挑戦者」たちがどんな子どもだったのかを聞きました。

※「挑戦者2021」はエコノミストオンラインへhttps://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210713/se1/00m/020/061000c

 投資用不動産の価値をビッグデータとAIを使って分析するクラウドサービス「Gate.」(ゲイト)を開発し、法人向けに販売しています。不動産情報会社などがインターネットで公開している物件や家賃などの情報を2008年から収集していて、現在は2億件超になります。AIを使って、個別の不動産が今後生み出す収益の見込みや、将来の売却額などを解析しています。

 不動産事業者や金融機関は、不動産が本当に価格に見合った価値があるのかどうか、頭を悩ませています。不動産市場は地域によって家賃下落率、空室率、リスクなども違い、また、約15年周期で価格が上下する「不動産サイクル」もあってとても複雑です。

 こうした投資用不動産の評価は、従来は不動産事業者や金融機関の担当者が経験と感覚に頼ってやっていましたが、ゲイトを使えば「数分で誰でもプロ並みの精度の分析」ができるようになります。例えば、東京都内の不動産について、 新型コロナウイルス感染拡大前後で資産価値が「落ちやすい駅」や「落ちにくい駅」をランキングすることもできます。

 ゲイトは現在、金融機関や不動産事業者向けに定額課金制で提供しており、約150社に導入してもらっています。

こどもの頃はどんな性格でしたか?

 一つのことに夢中になると周りが見えなくなるタイプでした。スイミングスクールでは選手コースだったので、朝5時から朝練で泳ぎ、部活で泳ぎ、部活後はスクールでとにかく泳いでばかりいました。読書が趣味で水泳以外の空いている時間はとにかく本ばかり読んでおり、通学中も歩きながら本を読んでいました。

こどもの頃の夢を教えてください。

 諸葛亮孔明や黒田官兵衛のような参謀役に憧れ、高い見識や知識で的確な指示を出せる人間になりたいと思っていました。

こどもの頃によく読んでいた本があれば教えてください。

 歴史関連の本(三国志演義、山岡荘八文庫、吉川英治文庫、司馬遼太郎文庫)をよく読んでいました。同じ本を何度も読み返すタイプでした。新潟出身だったので、幕末の河井継之助に共感し、「彫るように本を読む」ということを意識していました。

仕事をしていてよかったこと、大変だったことを教えてください。

 最初に就職した営業会社では徹底的な体育会系の会社だったので、精神的にも肉体的にも非常に厳しい仕事でしたが、転職後は優秀な上司に数多くお会いすることができ、若いうちに厳しく指導されたことが本当にありがたく、どんな仕事の経験でものちの自分の肥やしになることを実感しました。

子どもたちにメッセージをお願いします。

 なんのために勉強をするのかという質問をされる方がたまにいます。学校の勉強なんて社会に出たら役に立たないなんていう人もいます。私の答えは、「勉強することは脳のトレーニング」なのだということです。運動をしないと体が鍛えられないのと同じで、勉強を続けないと脳も鍛えられません。数学では論理的思考力を鍛え、語学では豊富な語彙力と表現力を培い、歴史ではグローバル時代の人々の背景を理解し、理学ではこれまで人類が培ってきた叡智を学ぶことができます。社会人になればそれら全ての能力が必要とされます。脳を鍛えなければ、そうした能力を必要としない仕事しか選べません。社会人になると仕事に追われ勉強する時間はほんのわずかになります。若いうちにしっかりと脳を鍛えて、自分の能力を成長させることに夢中になってください。 

(聞き手=中園敦二・エコノミスト編集部)