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スクールエコノミスト2024 WEB【山梨学院中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は山梨学院中学校を紹介します。

国際標準の学びが探究心を引き出し、明るい未来を描き追求できる力を育む

<注目ポイント>

①興味・関心を掘り起こし、ワクワクしながら「探究心」を醸成。

②粘り強くやり抜く経験を積み、達成感と自己肯定感を高める。

③3年間で英検準2級以上を無理なく取得できる実践的英語教育。

興味関心を深める国際標準の探究学習

 国際標準の教育を目指している山梨学院中学校には、IBプログラムから進化させた「パーソナルプロジェクト」がある。これは、生徒自身がテーマを決め、1年間かけて探究していくという取り組みで、教員の関わり方もユニークだ。例えばテーマ設定。自分で決めることができる生徒は背中を押し、そうでない場合には自己分析的に興味関心を掘り起こすことから始める。きっかけは、ぼんやりとした憧れでも、かつてワクワクした体験でもいい。生徒とのやりとりから糸口を見出し、『自分はこんなことに興味があったんだ!』という生徒自身の気づきにつなげる。

 探究の過程ではテーマや研究方法の見直しが必要となる場面も多く見られるが、そのような時こそが成長の機会であると捉え、教員は多角的な視点から助言を行う。その結果、生徒は自身の興味関心が探求のテーマとして真に成立することを実感し、自らの力で探究活動を行うようになっていく。実際に施設に足を運ぶ、アンケートを通じて統計的な調査を行う、実験を行う・・・。生徒は実に様々な手法を通じて探求のゴールを目指し、その成果はレポートとしてまとめられる。教員はそのレポートの評価をルーブリックに基づいて行い、あわせて教員の目には見えない生徒の努力にも必ず目を向けるようにしている。

 またその成果をまとめる段階でアカデミックスキルを徹底させるのも大きなポイントだ。生徒たちは一連の取り組みを通して、大学でも通用する研究手法や論文作成のマナーを習得する。そして、研究内容をクラスで発表し、評価を受け称賛されることで、達成感を味わい自己肯定感を高めていくのだ。

 「この取り組みの最大の目的は、物事を深く知りたいという探究心を育むこと。それが、将来大きな力になると考えています」と吉田正校長。自分の研究がその先への興味につながることもあれば、仲間の発表が新たな好奇心を呼び覚ますこともあり、生徒の探究のフィールドは限りなく広がっていく。過去には、打ち上げ花火への興味から1年次に自作ロケットを打ち上げた生徒が、2年次にはさらに高く打ち上げるために空中で分離する二段ロケットに、3年次にはカメラを搭載した三段ロケットで空中写真を撮影し回収するまでに継続的に深化させた研究例もあったという。

6割の生徒が英検準2級以上を取得

 同校は、実践力を重視した英語教育でも定評がある。中学入学時の学力差が社会で問題になるなか、山梨学院中学校では全員が最適な進度で学習できるよう4段階の習熟度別クラスを編成。ネイティブ教員と1対1で行うトークタイムとオンライン教材を併用しながら、全クラスで四技能をバランスよく育成していく。英語力の向上に合わせてクラスは変わっていくため、どの生徒もコンプレックスを感じることなく、達成感を得ながら着実に力をつけることができる。

 さらに、2年秋には、外国人講師と共に英語だけで2泊3日を過ごすイングリッシュキャンプ、3年秋には集大成となるオーストラリア語学研修が実施される。こちらは2週間もしくは4週間にわたってホームステイをしながら現地校に通い海外生活を満喫する。その結果、英語力は飛躍的に伸び、中学終了時に6割の生徒が英検準2級以上を取得。過去には1級を取得する生徒も数名いたと吉田校長は語る。

全3年生参加のオーストラリア語学研修