高市早苗・総理大臣が2025年10月21日に就任し、日本で初めての女性総理大臣として注目されています。高市さんの政治家としての考え方や、今後取り組む政策は、どのようなものなのでしょうか。
どんな人?
高市さんは奈良県出身です。サラリーマンのお父さんと、奈良県警察に勤めるお母さんとの間に生まれました。母親は厳しかったと振り返っています。神戸大学(兵庫県)を卒業後、政治や経済のリーダーを育てる民間団体「松下政経塾」で学びました。アメリカの議員事務所で働き、帰国後はテレビキャスターとしても活躍しました。
政治家の家が出身の世襲議員も多い中、高市さんはサラリーマン家庭の出身です。衆議院議員に初当選した当時は、どの党にも属さない無所属でした。「人一倍勉強して、人一倍政策を出して認めさせてやる」という気持ちだったそうです。
安倍晋三・元総理大臣は同じ選挙で初当選した同期で、安倍さんと政治の考え方をともにし、引き継いでいます。
イギリス初の女性首相となったサッチャーさんに憧れがあるそうです。高市さんは「総理になったら、私はバッシング(非難)を受けても粘り強く説得を続ける。(サッチャーさんを)見習いたい」と話しています。
3度目の挑戦で自民党総裁選挙に勝利し「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と決意を語りました。
1993年夏の衆議院議員選挙で初当選後、国会に初登院し議員バッジをつけてもらう高市さん=1993年8月5日
保守派と言われているの?
世の中で高市さんは「保守派の政治家」と言われます。保守とは伝統文化を重んじて守る考え方です。個人の自由を重んじて社会を変えていくリベラルと対比される言葉です。
例えば、選択的夫婦別姓制度を設けることには、結果として親子別姓になる影響への心配などを理由に反対の立場です。代わりに旧姓(結婚前の姓)を使える機会を増やす法案を準備しています。
歴史認識でも、当時の村山富市・総理大臣の戦後50年談話(1995年)にも入った「(日本の)侵略(他国へ侵入して奪い取る)」という表現に、「断罪し過ちと決める権利があるのか」と疑問を投げかけました。戦死した軍人らをまつる東京の靖国神社への参拝も大切だと考えています。
初当選時から「国民の生命と財産を守ることが最も重要な国家の役割だ」と訴えています。自衛隊による防衛力強化など安全保障政策に力を入れてきました。軍備を強める外国に対して強い姿勢を示す「タカ派」とも言われます。
政権をめぐる状況は?
高市さんが自民党トップの総裁に選ばれた後、まず取り組んだのが、どの政党と協力するかという話し合いです。現在、衆議院・参議院ともに議席が過半数に満たない少数与党であるため、高市さんが総理大臣に選ばれるかどうか分からない状況だったからです。
そのうえ、連立を組んでいた公明党が26年ぶりに政権を離れ、野党に転じました。その理由は、(1)政治家が企業・団体からお金をもらうルールを厳しくする案に自民党が応じない、(2)靖国神社参拝が外交問題になる心配、(3)外国人が日本で暮らすルールを厳しくする方針が共生に反する――というものでした。
そこで自民党は、日本維新の会と連立を組みました。維新からは内閣に大臣を出さない「閣外協力」です。維新は衆議院議員の定数を1割減らすことなどを条件とし、実現しなければ連立を離れるとしています。ただ、自民と維新の連立でも少数与党であることは変わらず、政策実現には一部野党の賛成を得る必要があり、不安定な政権運営が続きます。
アメリカのトランプ大統領の反応は?
高市さんは自らを、安倍元総理大臣の外交を引き継ぐ「安倍外交の後継者」といい、日本とアメリカの「日米同盟」が大切だと考えています。
10月末には来日したアメリカのトランプ大統領と会談しました。安倍さんと親しかったトランプさんも好意的で、お互いを「サナエ」「ドナルド」と呼び合ったそうです。会談では、勢いを増す中国の軍事的な行動を抑えるため、同盟の強化などを約束しました。安倍さんが提唱した「自由で開かれたインド太平洋」を実現する考えも一致しました。
トランプさんは以前から日本に防衛費増額を求めており、高市さんは増額を目指す決意を伝えました。高市さんは、関税交渉で合意した日本からアメリカへの約5500億ドル(約80兆円)の投資も改めて約束しました。日本企業が資金を投じてアメリカに何かの工場を建てて生産を始める事業などが考えられます。ただ、事業内容を決める権利はアメリカ側にあり、日本がどれだけ利益を得られるかは分かりません。
アメリカの原子力空母(軍艦)ジョージ・ワシントンの艦内でトランプ大統領(右)に紹介され、兵士たちの歓声に応える高市総理大臣=神奈川県横須賀市のアメリカ海軍横須賀基地で10月28日
何を優先して取り組むの?
高市さんは、国会であった所信表明演説で、物価高対策に最優先で取り組み、「強い経済」をつくるため「責任ある積極財政」を進めると表明しました。積極財政とは、国債(借金)を発行するなどしてでも、世の中に回るお金の量を増やす政策のことです。その結果、所得や国民の消費意欲が上がり景気が上向くという考えのもと、「増税しなくても税収を増やす」という目標を掲げました。
また、ガソリン価格に上乗せされている税金を年内で廃止する見通しになりました。さらに、働く人の年間の収入のうち所得税のかからない金額、いわゆる「103万円の壁」を引き上げて、所得税のかからない人を増やし、多くの人の負担を軽減する仕組みも議論するそうです。
一部の外国人による違法行為やルール違反には厳しく対応する方針です。政府の指示・指揮の機能を強化し、外国人が日本の土地を買うルールも見直す考えです。安全保障については、中国と北朝鮮、ロシアの軍事的な動きが「深刻な懸念(心配すること)」だと明言しています。
(2025年11月19日毎日小学生新聞より)
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女性初の総理大臣 高市早苗さん どんな政治家?【ニュース知りたいんジャー】
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