世界で有名な秋田犬のハチですが、意外と知られていないのが飼い主のことです。いったいどのような人物だったのでしょうか。(「Newsがわかる2024年1月号」より)
飼い主は東大の先生
ハチが帰りを待ちわびていた最初の飼い主は、今の東京大学(東大)農学部の教授だった上野英三郎博士でした。「ハチ公文献集」などによれば、上野博士は大の犬好き。体の弱いハチを自分のベッドの下に寝かせるなど、愛情を注いでいました。
当時、博士の職場の農学部があった駒場(目黒区)へは、自宅から歩いて通う博士に付きそい、出張の時などは渋谷駅まで送り迎えしていたそうです。ところが、上野博士は1925年5月、学内で倒れ急死。上野博士とハチが一緒に暮らしたのは、わずか1年4カ月でした。
東京都文京区の東大弥生キャンパスに建つ上野英三郎博士に飛びつくハチを再現した銅像。ハチの没後80年にあたる2015年に東大の教授有志らによって建てられた=東大本部広報課提供