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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

最近よく聞く「NATO」って何ですか?

読者から寄せられた身の回りの素朴な疑問、もやもやしていることについて、記者が取材しお答えする、毎日小学生新聞の人気コーナー『疑問氷解』
本日は「最近よく聞く「NATO(ナトー)」って何ですか?」という疑問に記者がお答えします。
(毎日小学生新聞『疑問氷解』2022年3月1日付より)

◇30か国が集団防衛拡大にロシア反発

 NATOは「北大西洋条約機構」のことで、「North Atlantic Treaty Organization」の略です。ヨーロッパやアメリカなど30の国々が集団で自分たちを守る組織です。本部はベルギーのブリュッセルです。

 NATOの特徴は、加盟国のどこかの国が武力攻撃を受けた場合、全加盟国への攻撃とみなして共同で守ると決めていることです。このように自国が攻撃されなくても、自国と密接な関係にある国が攻撃されたとき、防衛のために共同で立ち向かうことを「集団的自衛権」といいます。外交を扱う日本の役所・外務省によると、現在、NATOに加盟している国の軍事費は合計で1兆485億㌦120兆5775億円、軍隊は約332万人(ともに2021年推計値です)

 NATOは1949年に設立されました。当初はアメリカ、イギリス、フランスなど12か国でした。当時、世界は自由な経済を支持するアメリカを中心とした西側諸国と、土地や工場などの生産手段を国が管理する社会主義を掲げる旧ソ連(現在のロシアなど)を中心とした東側諸国が「冷戦(れいせん)」と呼ばれるにらみ合いをしていました。NATOは冷戦下、西側諸国の安全を守るために生まれました。

 89年に冷戦が終わり、91年に旧ソ連が崩壊すると、NATOは92年から始まったヨーロッパ南東にあるボスニア・ヘルツェゴビナでの紛争への介入など、新しい活動を始めました。また2001年に飛行機4機がニューヨークのビルなどに突っ込んで多数の死傷者を出した「アメリカ同時多発テロ事件」では、これをアメリカへの攻撃と見なし、国際的なテロ組織がかくまわれているとしてアフガニスタンを攻撃しました。

 1999年以降は、冷戦中に旧ソ連の支配下にあった東ヨーロッパの国々などがロシアの圧力から逃れるため、次々とNATOに加盟していきました。2004年には旧ソ連に併合されていたバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)が加盟。旧ソ連の一員だったジョージアとウクライナも加盟を求め、NATOは08年の会議で両国の将来的な加盟を認めました。NATOは加盟を求める国に制限を設けない方針をとっています。

毎日小学生新聞『疑問氷解』2022年3月1日付より

 しかしロシアは、NATOが東側に広がっていくことを、自国の安全を脅かすものと強く反発しています。08年、ロシアはジョージアと武力衝突を引き起こしました。また14年にはウクライナの重要な戦略拠点であるクリミア半島に攻め入って、今も支配しています。

 本来、ある国の考えを、他の国が武力で封じ込めることは許されません。しかしロシアのプーチン大統領は、今回のウクライナへの攻撃ではNATOの拡大を批判し、核戦争の可能性に触れるなどしています。今後NATOがどのような対応をとるのか、注目を集めています。【長岡平助】