日本国憲法を味方にする【月刊Newsがわかる4月号】

富士山はいまはなぜ噴火しないの? 【疑問氷解】

Q:富士山は、むかしは噴火したけれど、いまはなぜ噴火しないのですか?(東京都町田市、小3)

300年は「一瞬」 常に噴火の恐れ

   日本には111の「活火山」があります。富士山も、いつ噴火してもおかしくない活火山です。活火山とは、おおむね過去1万年以内に噴火した火山と、噴気活動などが活発な火山のことをいいます。ただ、富士山に詳しい小山真人・静岡大学名誉教授(火山学・火山防災学)は「火山といっても、のべつ幕なしに噴火しているわけではありません。時々噴火するのであって、噴火しない時間の方が長いのです」と穏やかに語ります。

 富士山は、5600年前から170回以上噴火を繰り返しています。最後の噴火は、江戸時代の1707年です。宝永噴火といい、100キロメートル離れた江戸(今の東京)にも火山灰が降る大噴火でした。

  もう一つの大きな噴火は平安時代の864年の貞観噴火です。溶岩流が、ふもとの森を焼き尽くして、「青木ケ原樹海」と呼ばれる広大な森の土台を作ったとされます。

 このように富士山は、約300年前から噴火していません。しかし小山さんは「300年は富士山にとってはほんの一瞬で、人間の感覚とは違います」と話します。

  火山では、地下の奥深くで作られたマグマが長い年月をかけて上昇し、地下数キロメートルくらいのところにいったんたまります。これを「マグマだまり」といいます。そのマグマだまりからマグマが地表に噴き出す現象が「噴火」です。

  富士山では、地震や地面の傾きなどが24時間態勢で観測されています。2000~01年には地下10~20キロメートルあたりで通常の地震よりもゆっくり揺れる「低周波地震」が増えた時期がありました。地下のマグマだまりの活動が、一時活発になったのです。

 宝永噴火の際は、西日本の太平洋沖で起きた巨大地震(南海トラフ地震)の49日後に噴火が始まりました。これに対して2011年の東日本大震災の際は、4日後に富士山の真下で中規模地震が起きましたが、噴火には至りませんでした。  

 小山さんは「低周波地震が活発化すれば、噴火の予兆の可能性はあります」と語ります。低周波地震の活発化の様子が分かれば、これを受けて気象庁から「火山の状況に関する解説情報」が出されます。さらに状況が緊迫すれば「臨時」というラベルがついて噴火警戒レベルを上げる可能性を示します。それより状況が進めば、噴火警報が出ます。もちろん警報が出ても噴火しない場合もありえます。

 富士山の火口(マグマが噴き出す場所)は山頂に限らず、山腹やふもとでも多いのが特徴です。噴火の形態も、大きな噴石、火砕流(熱い石や灰が斜面を流れ下る現象)、溶岩流、火山灰、火山ガスなど、さまざまです。噴火や地震をきっかけに、山が地滑りのように崩れる山体崩壊の可能性もあります。

 こうした現象に備えるため、静岡・山梨・神奈川の各県や国などでつくる「富士山火山防災対策協議会」があります。協議会は、噴火による影響を受ける場所を地図上に示したハザードマップ=図=を作製・公開しています。火口ができるかもしれない範囲や、噴火が起きた場合に噴石や火砕流が到達する範囲などが示されています。

 「火山は我々の予想通りにはいかないことが多々あります」と小山さん。富士山のマグマは粘り気が小さいので、噴火に達するまでのスピードが速く、警報が間に合わない場合も考えられます。「いつ噴火してもおかしくない、ということは意識してください」と語りました。【毎日小学生新聞編集部】(毎日小学生新聞2024年5月20日掲載)

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