日本国憲法を味方にする【月刊Newsがわかる4月号】

「互いに高め合える存在」健大高崎・石垣元気投手×佐藤龍月投手インタビュー

2年前の春の選抜大会で頂点に立ったダブルエースは、固い信頼で結ばれている。健大高崎(群馬)の右腕・石垣元気投手(18)と左腕・佐藤龍月投手(18)は、ともにプロ野球に進む。2002年の創部当初から野球部を率いる青栁博文監督(53)に「うちの歴史の全てと言っていいかもしれない」と言わしめた2人が、高校野球の3年間を振り返った。 (取材/構成・高橋広之)

――石垣投手は速球を武器に中学時代には北海道選抜に選ばれ、佐藤投手はキレのあるスライダーが持ち味で15歳以下(U15)日本代表に選ばれた。入学前から互いに意識する存在だったのか。

石垣 自分は知っていました。(インターネットなどで佐藤投手の)動画を見ていました。映像より生で見た方がすごかったです。少しはライバル心があったんですけど、これは(自分が勝つのは)ちょっと無理だなって思いました。
佐藤 正直に言うと石垣は知らなかったです。健大高崎に入って初めて会いました。当初は「自分が一番」という気持ちでいたのですが、練習で石垣の球を見た瞬間に「これはやばいぞ」と思いました。ストレートが速すぎて見えなくて。

――1年秋の関東大会は4強入り。24年春の選抜大会で初めて甲子園の土を踏み、「背番号1」を付けた佐藤投手は1回戦から準々決勝までの3試合に先発し、準決勝と決勝は救援。石垣投手は準々決勝までは救援で、準決勝と決勝は先発した。全試合を2人でつなぎ、初優勝した。

石垣 甲子園は広かったです。観客席も近く、今まで試合をしてきた球場との雰囲気の違いを感じました。気が付いたらもう準決勝でした。(準々決勝で)龍月が指をけがして、(生方啓介・野球)部長から「準決勝(先発で)行くぞ」と言われて気合が入ったのは覚えています。優勝盾を持ち、球場を一周している時は、こんなに気持ち良いことはあるのだろうかと思っていました。
佐藤 甲子園は気持ちがふわっとするというか、その中でも自分の力を引き出してくれるような感じがしました。気が付くとメダルをかけられていました。(優勝を決めた三振は)スライダーを投げました。あの時はゾーンに入っていて、優勝したかどうかが分からなくて……。一度、ベンチに帰ろうとしました。皆が駆け寄ってきて「あ、優勝したんだ」と思い、マウンドに戻りました。歓喜の輪に入った気持ち良さはありました。

第96回選抜大会で活躍した佐藤投手=阪神甲子園球場で2024年3月30日

――「春夏連覇」を目指した24年夏は群馬大会を制したが、佐藤投手は甲子園の開幕前に左肘の靱帯じんたい断裂と疲労骨折が判明した。チームは2回戦で敗退。佐藤投手は8月末に再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた。

石垣 (群馬大会後に佐藤投手が)病院に行き、帰ってきたら「投げられない」と報告を受けました。ショックが大きかったのですが「龍月の代わりに自分が頑張ろう」という気持ちになりました。(背番号1は)自分が付けるしかないと思い、より自覚と責任が湧いてきました。
佐藤 石垣とは背番号に関係なく、ダブルエースだと思っていました。(石垣投手が)1番を付けて甲子園では頼もしいピッチングをしたので、感動しました。

――2年秋の関東大会は準優勝。「春連覇」が懸かった25年春の選抜大会は4強入りした。準決勝までの4試合のうち、石垣投手は3試合に全て救援登板。準々決勝の花巻東戦では春最速の155キロを出した。佐藤投手は背番号18を付け、全4試合に代打で出場した。

石垣 155キロは、なんだか歓声が湧いているなと……。速球は(スピードを)出しにいったというか……。力を入れた時は球速表示を見ていました。
佐藤 野手は調整の仕方や練習が全く違いました。(石垣投手が)155キロを出した時はベンチ内も「ええっ」と騒然とし、観客のようになって見ていました。

――4季連続の甲子園となった25年夏の甲子園は初戦の2回戦で京都国際に敗れた。佐藤投手は四回途中から3番手で救援し、4番手で投げた石垣投手は再び155キロをマークした。試合後は2人でクールダウンのキャッチボールをした。

石垣 終わったんだなと思いながらやりました。
佐藤 自分は絶対に石垣とキャッチボールをするって決めていました。自分から誘いました。「一緒に投げてくれてありがとう」という気持ちを込め、投げていたら涙がこみ上げてきました。

第107回全国高校野球群馬大会決勝で4回を無安打無失点に抑えた石垣投手=2025年7月27日

――25年10月のプロ野球ドラフト会議で、石垣投手は千葉ロッテマリーンズから1位、佐藤投手はオリックス・バファローズから3位指名を受け、それぞれ入団を決めた。プロでの目標は。

石垣 しっかりと体作りをし、1年目から投げたいです。龍月と1軍の舞台で投げ合い、いずれは一緒に日本代表に選ばれたいです。
佐藤 まずは石垣と同じ土俵に立てるように頑張ります。最終的には肩を並べ、日本を背負う存在になりたいです。

――改めてお互いはどんな存在か。

石垣 龍月がいなかったらプロにもなれなかったですし、本当に感謝しています。高め合える存在がいたことが、成長につながるということを学びました。
佐藤 出会えたことに感謝しています。うまくいかない時や手術をした後など、いつも寄り添ってくれました。本当に前向きになれる存在です。

色紙を手にする石垣投手(右)と佐藤投手

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