2025年 重大ニュース【月刊ニュースがわかる12月号】

高専に行こう! 苫小牧高専編

高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は苫小牧高専を紹介!

 苫小牧高専は、中学校卒業後に進学できる5年間の本科と、それに続く2年間の専攻科を設けており、計7年間にわたる一貫した教育体制を整えています。広大なキャンパスは全国でも有数の規模を誇り、豊かな自然に囲まれた環境の中で、学生たちは充実した日々を過ごしています。

 本校の教育の特色は多岐にわたります。まず、「知・徳・体」の調和を重視し、次世代のリーダーにふさわしい「豊かな人間性の育成」に力を入れています。加えて、工学的技術への興味を引き出し、専門的な基礎学力やコミュニケーション能力を養うことで、広い視野を持ち、自ら課題を発見・解決できる創造性と探究心を育てる教育を展開しています。

 また、本校は全国に先駆けて文部科学省の数理・データサイエンス・AI教育プログラムの認定を受け、DX人材の育成に力を入れています。

情報科学・工学系のリアルタイムOS演習の様子=苫小牧高専提供

 コミュニケーション能力の向上にも力を入れており、日本語・外国語の両面での表現力を高める取り組みに加え、海外語学研修制度(留学制度)を整備し、TOEICや英検の受験を奨励しています。

 学生生活を支える施設は、体育館や武道場、陸上競技場、サッカー場、野球グラウンド、テニスコート、アーチェリー場などの運動施設に加え、寮や学生食堂、売店、「憩いの広場」なども完備。図書館やパソコン室は平日夜8時まで利用可能で、学習環境も整っています。

 地域との連携も強く「苫小牧高専協力会」には200社以上が加盟し、地域産業のための技術開発支援及び技術者再教育などの事業を通して地域社会の発展に寄与しつつ、教育・研究・進路面での支援を受けています。

 本校の就職希望者の就職率はほぼ100%で、卒業生は社会から高い評価を得ています。また、本科生の3割は進学を希望し、本校の専攻科では、複数の専門分野を融合させた「学融合」により「新しいタイプの技術者の育成」を目指しており、専攻科修了後には大学院へ進学もしています。大学の第3年次編入学も国立大学の工学部を中心に、農学部、理学部、教育学部など幅広い分野へ進学しています。

応用化学・生物系の定性分析実験の様子=苫小牧高専提供

 技術者に必要な実力を身につけるための勉強は決して楽ではありません。学業に真剣に取り組むことで本当の楽しさを実感できます。クラブ活動や同好会も盛んで、全国高等学校体育連盟の大会や高専体育大会、ロボコン、音楽コンクールなどで成果を上げています。高専祭や体育大会、研修旅行などの行事も充実しており、「厳しいが充実した、楽しい」学生生活が待っています。

【苫小牧高専へのアクセス】
■JR苫小牧駅南口3番バスのりば「苫小牧駅前」から 《17番錦岡線(北錦岡行き)》のバス(道南バス)に乗車、 約40分後「工業高専前」にて下車
■JR苫小牧駅よりタクシーにて約20分
■道央自動車道「苫小牧西IC」より車で約3分