世界の人たちと生きる これからの日本【月刊ニュースがわかる11月号】

憲法9条と「緊急事態条項」  「ニュース検定」がわかりやすく説明

 憲法改正を巡る論議で大きな争点となってきたのが、平和主義の象徴である「憲法9条」です。

 例えば、9条2項では「戦力の不所持」が定められています。これについて「自衛隊は事実上の戦力だ。憲法違反ではないか」という指摘が自衛隊の発足当初からあります。政府は「自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力組織で、『戦力』には当たらない」と説明し、憲法違反ではないとしてきました。

 自民党は、9条を現在のまま残しつつ、新たな条文を加えて自衛隊を明記する案を示しています。これに対して、野党の中には「9条が形だけで何の効果もなくなり、平和主義の理念が失われてしまう」などの反対意見があります。

 また、「他国から攻撃された場合の自衛権はどこまで認められるか」も論点になってきました。

緊急時の対応と「国民の権利」

 近年は、大きな災害やテロなど緊急時の対応を前もって決めておく「緊急事態条項」を憲法で定めるかどうかの議論も続いています。

 具体策の一つが「国会議員の任期を延長する」という方法です。国会議員の任期は憲法に明記されています。「もしも緊急事態が起きて選挙を行えないまま任期が切れると、国会が開けなくなる。そうならないように備えるべきだ」という考え方に基づきます。改憲勢力は、こうした方法が必要だという点で一致しています。

 ほかに、「内閣の権限を強める」という方法もあります。例えば、緊急事態で国会が開けず法律などが作れなくなったとき、法律と同じ効果を持つ決まりを内閣が作れるようにします。

 ただ、現在の憲法にも、緊急事態に対応する規定がないわけではありません。例えば衆議院の解散中に緊急事態が生じた場合、内閣が参議院に緊急集会を求めることができます。参議院は3年ごとに議員の半数を改選するので、全議員が一斉に任期切れになることはありません。

 改憲勢力以外の野党は「今ある規定で対応できる」「内閣の権限を強めると国民の権利が損なわれる恐れがある」などと主張しています。 


「2025年版ニュース検定 公式テキスト&問題集「時事力」基礎編(3・4級対応)」より]

毎週水曜日、金曜日に配信予定**


 書影をクリックすると本の通販サイト「Amazon」のサイトにジャンプします


ニュース検定とは?

画像をクリックすると「ニュース時事能力検定試験」公式HPにジャンプします

 「ニュース時事能力検定試験」(略称、ニュース検定)は、ニュースを読み解く力を多くの人に身につけてほしいと、日本ニュース時事能力検定協会(養老孟司・名誉会長)や毎日教育総合研究所、各地の新聞社が共催して、年3回実施しています。 
 1級~5級まで6段階ありますが、4級は主に中学生以上、3級は中高校生以上が対象です。3・4級対応のニュース検定 公式テキスト&問題集「時事力」基礎編(3・4級対応)は、「脱炭素社会への道のり」「社会保障のこれから」「核兵器と向き合う世界」など22のテーマについて、グラフや図解を多用して最新ニュースをわかりやすく解説しています。また、「時事力Basic」でそもそもの基礎知識を身につけることができます。 

 4級と3級の検定問題は四つの選択肢から一つを選ぶ方式。各45問の約6割はこの本から出題されます。 

次回の検定はいつなの?

 「ニュース検定」で次回の検定日や、お近くの試験会場などご覧いただけます。 

ニュース検定の問題に挑戦してみよう!

公式サイトで模擬問題や過去問題を公開しています。力試しをしてみましょう。

https://www.newskentei.jp/question.php