小泉八雲と怪談ニッポン【月刊ニュースがわかる10月号】

台風はどうやってできるのですか?【疑問氷解】

Q 台風はどうやってできるのですか?(愛知県豊川市、中1)

水蒸気をエネルギーに発達

 A 気象庁の予報官・石原洋さんに聞きました。石原さんは「熱帯の海の上で発生する低気圧を熱帯低気圧と呼びます。熱帯低気圧の範囲で吹く風が毎秒17メートル以上になると、台風と呼ぶようになります」と説明します。

 空気は温められると上空に上がっていく性質があります。上空に上がると空気中の水蒸気が雲になります。熱帯の海では水温が高いので、水蒸気をたくさん含んだ空気がどんどん上空に上がり、入道雲(積乱雲)がたくさん生まれます。いくつかの条件がそろうと、雲が集まって回転し始め、熱帯低気圧や台風になります。台風は移動しながら水蒸気をエネルギーにして発達し、水温の低い海や水蒸気が少ない陸上に来ると勢力が弱くなり、消えます。この間、およそ5~6日です。

 台風の進む方向や強さは、さまざまなデータを集めて推測します。海の上では主に気象衛星ひまわりから、台風の雲の形や雲の上部分の温度を見て、過去のデータを参考に、風速や気圧を予想します。ほかに衛星から見える海面の波の立ち具合から、台風の周りの風速を推測しています。その上で、スーパーコンピューターで大量の計算をし、気象庁の予報官が判断して、予報を発表します。

 台風の進路で影響を受けやすいのが、日本の南の海上に張り出している太平洋高気圧です。太平洋高気圧の周りは時計回りに風が吹いているため、台風は太平洋高気圧の縁に沿うように動きます。太平洋高気圧の張り出し具合により、台風は大体月ごとに図のようなコースをたどる傾向があります。

 台風と呼ばれるのは赤道より北、東経180度より西側の北西太平洋で発生したもので、別の地域では「サイクロン」や「ハリケーン」と呼ばれます。世界では合計すると年間平均85個ぐらい発生しています。北西太平洋で発生するのは25~26個。そのため日本をはじめ、フィリピン、ベトナム、中国など、東アジアの国々で毎年のように台風の被害が出ています。【毎日小学生新聞編集部】

(毎日小学生新聞2017年8月21日掲載)

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