注目キーワード
  1. 中学受験
  2. 社会
  3. イベント
  4. SDGs
【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

人間国宝と呼ばれるひとたち

能や歌舞伎などの伝統芸能や、工芸などの世界で「人間国宝」と呼ばれる人々がいます。

それぞれの分野で高い技術を持つ名人だということはイメージできますが、具体的にはどのような人を指すのでしょうか。そして、誰がどうやって決めているのでしょうか。

「人間国宝」という言葉は一般的に使われていますが、正式な名称ではありません。正式には、「重要無形文化財保持者(各個認定)」と言います。「無形文化財」とは、人々が長い歴史の中で守り伝えてきた貴重な伝統の技のことです。工芸品や絵画のような「物」ではなく、「技」そのものを指しています。「重要無形文化財」は、その技の中でも特に重要な技として文部科学大臣が指定したものです。そして、重要無形文化財に指定された技を、とても高いレベルでできる人・身につけている人物として認定された人が「重要無形文化財保持者(人間国宝)」です。

しかし、「技」自体には形がありません。それを次の世代に確実に引きつぐためには、この技を持っている人を育てたり、技を多くの人に知ってもらう機会をつくることが重要です。そこで人間国宝に認定された人には、技の維持や後継者を育てるために、活動費として年間200万円が交付されます。

重要無形文化財は、歌舞伎や能楽、音楽や舞踊などの「芸能」、陶芸や染織、漆芸といった「工芸技術」の2つの分野があり、それぞれに人間国宝が認定されています。人間国宝に認定される人数は最大で116名と決まっています。重要文化財やその保持者は、専門家によって調査・検討され、最終的には文部科学大臣が決定するため、自分で申し込んだり、誰かが推薦することはできません。※写真は落語家で人間国宝の柳家小三治さん(編集部)