「戦後80年企画」80年前の子どもたち【ニュースがわかる8月号】

かき氷を食べると頭がキーンとするのはどうして? 【疑問氷解】

Q かき氷など冷たいものを食べると、頭がキーンとするのはどうして?(小6)

脳が冷たさを痛みと勘違い

 A 頭痛治療に詳しい埼玉国際頭痛センター長の坂井文彦さんに教えてもらいました。

 冷たいものを大急ぎで食べた時に頭がキーンとする(頭が痛いと感じる)現象には実は名前があります。「アイスクリーム頭痛」と呼ばれ、医学用語として国際的に認められています。世界的な頭痛の研究者が作る頭痛の診断基準「国際頭痛分類」の367種類の一つで、「寒冷刺激による頭痛」に分類されています。

 どうして口から入れた冷たさの刺激が頭の痛みに感じるのでしょうか。それは、脳が冷たさを痛みと勘違いして起こります。冷たいものを食べると、冷たさや熱さ、痛みなどを感じる三叉神経に「冷たい」という刺激が伝わります。ところが、あまりにも冷たさの刺激が強いと、脳に信号が伝わるまでの中継地点で情報が混線してしまい、脳は頭痛を伝える信号だと勘違いしてしまうのです。

 ですから、冷たいものを食べて頭が痛くなっても一時的なことなので心配はいりません。

 この頭痛は、短い人で数秒、長い人で数分続くなど、痛みを感じる度合いには個人差があります。どんなに大急ぎで食べても痛くならない人もいます。こめかみの辺りがズキンズキンと痛む頭痛を片頭痛と言いますが、片頭痛を抱える人の6割以上がアイスクリーム頭痛が起きやすいと言われています。この片頭痛との関連など、アイスクリーム頭痛に関する研究は意外と多く、かき氷やアイスクリームをよく食べる日本や台湾では特に研究が進んでいるといいます。

 では、どうしたら頭がキーンとしないのでしょうか。坂井さんは「冷たいものは冷たさを感じるために食べますが、注意しながら食べるほかにありません」と言います。また、頭がキーンとしたらこめかみの部分を押さえたり、氷をくっつけたりすると、別の信号を与えることになるので痛みを紛らわすことができるかもしれないそうです。これから冷たいものを食べたくなる季節ですが、焦らず、おいしく味わって食べるようにしましょう。【毎日小学生新聞編集部】

(毎日小学生新聞2019年7月9日掲載)