「戦後80年企画」80年前の子どもたち【ニュースがわかる8月号】

クラゲはどうして迷惑がられるの?【疑問氷解】

Q クラゲはどうして迷惑がられるの?(長野県松本市)

海水に漂い触手でふれたものを刺す

 A ここ最近、クラゲは水族館で展示され、ふわふわと水の中を漂う姿に癒やしを感じる人も多いようです。クラゲを展示するエリア「海月空感」を2020年オープンしたサンシャイン水族館(東京都豊島区)の飼育スタッフ、先山広輝さんに聞きました。

 クラゲは、刺胞(しほう)とよばれる小さな袋をもつ刺胞動物です。細長い触手に刺胞がついていて、刺胞の中には毒を出す針が入っています。イソギンチャクやサンゴも刺胞動物です。

 触手にある刺胞で刺すことが、クラゲの大きな特徴です。このため、迷惑がられるのかもしれません。体の95%以上が水でできていて、心臓や脳はありません。「かさのまわりに触手があり、漁師の網のように広がっています。触手に獲物がふれると反応して刺し、毒を注入します」と先山さん。えさとなるプランクトンや魚を刺してまひさせ、捕まえます。

 人が刺された場合、毒性が弱いクラゲだと、赤くなったり、かゆみを感じたりします。毒性が強いものはミミズばれのようになり、しびれや痛みが走ります。刺された痛みでパニックを起こしておぼれたり、アナフィラキシーショック(全身に表れる強いアレルギー反応)を起こしたりすることもあります。基本的に、触手が長いクラゲは毒性が強いと言われています。アカクラゲ、カツオノエボシ、アンドンクラゲ、ハブクラゲは毒性が強いです。

 ミズクラゲは卵からかえると岩などにくっつきます。やがてイソギンチャクのような姿になり、冬を越します。春になると子どものクラゲになります。親クラゲに成長し、秋に卵を産んで死にます。お盆を過ぎると海水浴場にクラゲが発生しますが、私たちが知っているクラゲの形でいるのは、かぎられた時間なのです。お盆のころの海でクラゲに刺されるのはこのためです。

 時々、クラゲが大量に発生することがあります。その原因として、海水温の上昇や、えさとなるプランクトンの大発生などが考えられます。

 クラゲは水流にのって漂っているので、泳ぎが得意ではありません。クラゲから襲うことはありませんが、ふれたものを刺すので、クラゲがいるところには近づかないようにしましょう。

 もし刺されたら、糸のような触手が張り付いている場合は、水ではなく海水で洗います。かいたり、さわったりせずにすぐに病院に行きましょう。

 先山さんは「すべてのクラゲが刺すわけではありません。刺さないクラゲもいますし、発光するクラゲなどもいて多種多様です。未知の部分が多い生き物です」と話しました。【毎日小学生新聞編集部・篠口純子】(毎日小学生新聞2021年5月18日掲載)

大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」では、予約体験エリア「わたしを祝う」に360度のスクリーンがあり、クラゲと共にいのちの旅へ参加できる=大阪市此花区の夢洲で2025年3月23日、小関勉撮影 

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