スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は東京電機大学中学校を紹介します。

“スクリーンより実物”をモットーに。五感教育は自由な研究の成果を導く
<注目ポイント>
①「 五感を鍛える「」実学尊重主義」を象徴する“実験BOX”。
②目に見える現象から抽象的な概念へ。発達段階に応じたカリキュラム。
③探究心、対話力、人間性を育む様々な機会を提供。
建学の精神と物理教育を象徴する“実験BOX”
「技術立国日本」を夢見た2人の青年技術者が、科学者と技術者の育成を目指し、1907年に創設した東京電機大学。その精神は東京電機大学中学校の教育にも色濃く受け継がれ、実験や実習を重視する「実学尊重」の教育が伝統となっている。
理科教育で特に重視するのが「五感を鍛える体験」だ。磧谷和樹教頭は“スクリーンより実物”をモットーに「見て・触って・実際にやってみる」ことで、理科の楽しさを実感させる授業を行っている。「五感を使った実験や観察を通じて『自作のモーターが回った!』という体験や『面白い!』『もっと調べたい!』という気持ちが生まれた瞬間こそ生徒の理解が深まるタイミング」と語る。
中学⽣が1⼈1つ持つ“実験BOX”も、同校の理科教育を象徴する。BOX内には配布された材料から生徒が手作りした実験用具が保管され、破損すれば自分で修理しながら使い続ける。「自ら手作りするからこそ、用具を大切に扱う気持ちが育まれ、実験装置を構造から理解することで、理科的センスが培われる」と磧谷教頭。なかには自分なりに工夫し、より使いやすくアレンジを加える生徒もいる。
また、これらの豊富なオリジナル実験用具は、材料調達から加⼯まで可能な限り理科教員たちが手作りしている。作業を行う物理準備室は、まるで技術教室の様相を呈し、生徒に「もの作りの大切さ」を伝えようとする教員の真摯な姿勢が伺える。

発達段階に合わせた理科・物理授業
物理の単元は、生徒の発達段階に応じたカリキュラムが組まれている。中1では光の屈折や反射などの目に見える現象を学び、中2では電流や磁界などの直接目に見えないものへと進む。中3になると、エネルギーや運動など、より抽象的な概念を学んでいく。また実験や観察の後には結果をレポートにまとめ、続けて実験・観察、まとめと繰り返すことを重視する。これにより、論理的思考力が養われるだけでなく、文章やデータを整理する過程で新たな発見が生まれることも多い。
さらに実社会における農業・工業・医療分野での応用例も紹介しながら、研究作法にも触れるよう心掛けている。「研究テーマ決め→仮説→実験計画→実験→まとめ」という一連の流れを低学年のうちから学ぶことは、生徒たちにとって有益な経験となる。
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