日本の主食 コメの未来は?【ニュース知りたいんジャー】

もうすぐ実りの秋を迎え、コメの収穫が本格化します。コメは古くから日本人に親しまれ、日本のことを美しくたとえる「瑞穂(みずみずしいイネの穂)の国」という言葉があるほどです。コメについて、知りたいんジャーが調べました。【長岡平助】


 ◇コメっていつごろ日本に来たの?


 コメを実らせるイネは、もともとは中国南部から東南アジアにかけて広がる山岳地帯の植物といわれます。稲作は2000年以上前に、日本に伝わったとされます。
 日本で、コメは穀物の中でも特別な地位を占めてきました。例えば、現代では国の経済の大きさはお金で表し、給料などはお金で払われますが、江戸時代にはコメが主にその役割を担っていました。各地の藩の規模を表す「○万石」や、武士の給料の「○石取り」などという際の「石」はコメの単位で、1石はだいたい150㌔㌘に相当します。
 なお、コメには大きく分けて、ジャポニカ種、インディカ種、ジャバニカ種の3種類があります。ジャポニカ種は日本でよく食べられているもので、粒が短く、炊くとねばりとつやが出ます。世界で最も多く食べられているのはインディカ種で、粒が細長く、炊くとパサパサした感じです。ジャバニカ種はアジアの熱帯高地などで作られています。


 ◇最近パンを食べる方が多いかも

 コメは、小麦やトウモロコシと並ぶ「三大穀物」といわれ、世界で年間5億600万㌧ほど作られています。主にアジアで生産され、そのうち中国が1億4830万㌧ほどで約30%を占め、インドの約1億2227万㌧、インドネシアの約3530万㌧と続きます。日本は約815万㌧です(2020、21年)。
 日本国内で生産量が最も多いのは新潟県で、北海道、秋田県が続きます(21年度)。東北・北海道がコメどころになった背景には、品種改良の結果、寒い地域でも作れるようになったことと、昼と夜の気温差が大きくイネの生育に適していることが挙げられます。
 一方、国内のコメの消費量は、1962年度の1人あたり年間約118㌔㌘をピークに減り続け、現在半分以下の約51㌔㌘(20年度)です。60年代には生産量が1400万㌧を超える年もありましたが、消費量が減るにつれ生産量も減る傾向を強めました。
 消費量が減った理由として、食生活の洋風化や多様化が挙げられます。昔より主食にパンやめんを食る機会が増えました。1人暮らしや夫婦共働きの世帯が増え、「炊く時間がない」「研ぐのがめんどう」などと手軽なパンやめんを選ぶ傾向もあります。生まれる子どもの数が減る「少子化」で、食べ盛りの年代が少なくなったことも影響しているとみられます。


 ◇給食はけっこうコメだよね


 その国で食べられている食料が国産でどのくらいまかなえるかを示す指標を「食料自給率」といいます。人が生きるため必要なエネルギー(カロリー)で見た場合、日本の食料自給率は全体で38%です(21年度)。60年代には70%を超えていました。主食で、ほぼ全てが国産のコメの消費量減少が、食料自給率低下の大きな原因の一つです。
 食料自給率の低下は、何らかの理由で食料を輸入できなくなったとき、生活に大きな影響を及ぼします。そこで国は、学校給食でコメを出す機会を増やしたり、健康の面からコメを中心にした和食をアピールしたりして、コメの消費量を増やそうとしています。またコメを砕いて粉にした米粉を使ったパンなど、新しい食べ方を勧めています。
 学校給食でコメを出す小中学校などは全国に約3万校(18年度)あり、週5回の給食のうち平均3・5回、コメが登場しています。中には週5回、すべてコメという学校もあります。日本が第二次世界大戦(1939~45年)に負けた直後は食料が不足し、アメリカなどの救援物資の小麦で作ったパンが給食の主流でした。その後国が豊かになり、コメが余り始めたことなどから、70年代からコメが給食に登場するようになりました。


 ◇主食のコメを守らないと!


 戦後しばらく、国は主食であるコメの生産を守るため、コメの輸入を原則認めていませんでした。ところが、日本が工業製品の輸出で経済成長をとげると、「不平等だ」として、コメの輸入を求める声がアメリカなどから上がりました。そこで80年代後半から交渉が行われ、日本は輸入するコメに高い税金をかける代わりに、一定量のコメを輸入するよう義務づけられました。これを「ミニマムアクセス米」といいます。
 ミニマムアクセス米は95年から輸入が始まり、現在の輸入量は年間約77万㌧です。輸入元はタイやアメリカ、中国、オーストラリアなどで、その多くはいざというときの蓄えやお菓子などの加工用、国際援助などに回されています。
 輸入を制限するほかに、国は長く、コメの生産から流通までを細かく管理してコメの生産を守ってきました。収穫したコメをすべて買い上げたり、農家ごとに生産量を割り当て、余らないよう調整する「減反」という政策をとったりしていました。しかし、現在は自由なコメ作りを促すため、規制がとてもゆるくなりました。国際競争に勝つことなどを目的に、減反政策は2018年に廃止されました。


 ◇コメをめぐる課題は?


 稲作は日本の農業の中心です。稲作の抱える課題は農業全体の課題ともいえます。
 まず、担い手の減少と高齢化があります。普段仕事として農業を営む人は、15年の約175万人から、20年には約136万人と20%以上減りました。稲作をする農家の数も約94万戸から約70万戸になりました。農業の担い手のうち、65歳以上の人が占める割合は、約65%から約70%に増えています。
 加えて、日本の農家は海外より規模が小さく、生産にかかる費用が高くつくため、農産物の値段が高くなりがちです。
 さらに、消費量の減少が止まりません。日本の人口は08年の約1億2800万人をピークに減り続け、65年に8800万人ほどになるといいます。人が減れば食べる量も減ります。
 国はこれらの課題を解決するため、新しく農業を始める人への支援や農業の大規模化、IT(情報技術)の利用、より品質の高いものを生産する「ブランド化」、農産物の輸出拡大などの対策をとっています。しかし必ずしも成功しているとはいえません。例えば、コメの輸出は香港やシンガポールなどを中心に伸びてはいますが、21年に2万㌧超で、日本の生産量全体の1%に満たない規模です。(2022年08月31日掲載毎日小学生新聞より)