10代のうちに強くする! 骨のチカラ【月刊ニュースがわかる5月号】

配膳ロボットの仕組みを知りたい。 【疑問氷解】

Q 配膳ロボットの仕組みを知りたい。

店内のルートを記憶 センサーで人を回避

 A 最近、ファミリーレストランなどに行くと、配膳ロボットをよく見かけるようになりました。中には、しゃべったり、目や顔の表情がくるくる変わったりするロボットもあります。「ガスト」など、すかいらーくグループ約2100店舗で3000台の配膳ロボットを導入しているすかいらーくホールディングス広報室の北浦麻衣さんに話を聞きました。

 2021年からすかいらーくグループの店舗で導入しているのは、ネコ型配膳ロボット(ベラボット)です。食べ物やドリンクをトレーに載せ、ロボットの画面上のテーブル番号をタッチすると、指定したテーブルまでロボットが運んでいき、注文客がそれを受け取ります。トレー上に物がないことを赤外線センサーで検知すると、自動的に戻っていきます。

 スムーズに運べる仕組みはどうなっているのでしょうか。

 「導入初日にロボットに店内の地図を記憶させるようプログラミングし、ロボットに店内を周遊し障害物や各ルートを学んでもらいます。また、各テーブルごとにロボットの最適な停車位置を設定しています」と北浦さんは説明します。

 いくら賢い配膳ロボットとはいえ、運んでいるものをこぼしてしまったり、人にぶつかったりしてしまうこともあるのでは、と心配になります。しかし、そこはロボットに付いている3Dカメラや赤外線センサーによって位置を確かめ、修正しながら人や障害物を避けるので、心配無用。「あらゆる実験をしましたが、そのようなことはほぼありませんでした。ベラボットは走行の安定性が高いことも導入の決め手の一つとなりました」

 飲食業界でいち早くロボットを大量に導入した同グループ。北浦さんは、その理由に、「顧客満足度の向上」と「従業員の働きやすい環境づくり」を挙げます。「人とロボットが協働するサービスモデルの構築を目指しており、ロボットで利便性を高める一方で、人にしかできないサービスを充実させることを目的としています」

 配膳ロボットを導入したことでよいことがありました。「配膳ロボットが配膳を担ってくれることで、人にしかできないサービスの充実を図ることができ、お客様の利便性や満足度の向上につながりました。また、従業員も重いものを運ぶなどの負担が軽減されることで、とくにシニア(高齢者)スタッフの身体的な負担が軽減されました。外国人スタッフや新人さんも業務が覚えやすくなるほか、ロボットと働きたいという動機でバイトの応募をしてくれる人も出てくるなど、採用面でもプラスの効果がありました」

 「ありがとうニャン」など表情豊かにしゃべる愛らしいネコ型配膳ロボット。子どもの評判はどうなのでしょうか。「お子様から大変人気があります。13種類の表情を持ち、頭や耳をなでるとちょっとした会話もしてくれますので、ロボットに会うのを楽しみにご来店されるお客様も多くいらっしゃいます」と北浦さんは教えてくれました。【毎日小学生新聞編集部・長尾真希子】

(毎日小学生新聞2023年7月24日掲載)

ファミリーレストランで活躍するネコ型配膳ロボット=東京都練馬区のガスト谷原店で2023年6月22日、加藤美穂子撮影

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