国語の授業をたのしんでいますか? 毎日小学生新聞の連載「日本語どんぶらこ」では、人呼んで「ことばハンター」こと『三省堂国語辞典』の編さん者の飯間浩明さんが身近にあって気になる日本語をとりあげています。金井真紀さんのほっこりしするイラストとともに、ことばの語源や新語や流行語など、気になることばをわかりやすく解説。ことばに関する疑問やモヤモヤがすっきりすると好評です。
この春、連載をまとめた最新刊『日本語どんぶらこ ことばは変わるよどこまでも』が発売されましたが、ことばに興味を持ったあなたも、国語に苦手意識があるあなたも、ことばの森で遊んでみませんか? ここでは既刊の『日本語をつかまえろ!』、『日本語をもっとつかまえろ』から、気になるコラムを一部ご紹介いたします。
学校の中でいつも目にする、ごく当たり前のものごとでも、地域によって呼び名がちがうことがあります。
運動会の時にかぶる「赤白帽(あかしろぼう)」。これを「紅白帽(こうはくぼう)」と言う人もいるでしょう。「紅白帽」は、東日本の学校でよく使う言い方です。
体育の時に着る服は、東日本で「体操着(たいそうぎ) 」、西日本で「体操服(たいそうふく)」と言う人が多いそうです。このことは、私といっしょに辞書を作っている先生に教えてもらいました。
では、やはり体育の時にひざをかかえて座る、あの座り方を何と言うでしょう。
これについて、私はツイッターでアンケートを取ったことがあります。約1400人もの人が答えてくれました。
それによると、全国的に多いのは「体育座(たいいくずわ)り」です。私も、香川県の子どもだったころ、「体育座り」と言っていました。

また、「体操座(たいそうずわ)り」という地域もあります。愛知・福岡・兵庫・岐阜などがそうです。
関西では「三角座(さんかくずわ)り」とも言います。たしかに、足が三角形になっています。北海道・東北では「安座(あんざ) 」と言う所もあります。
保育園(ほいくえん)・幼稚園(ようちえん)では「お山座(やまずわ)り」
とも言います。「小さいころ、そう言っていたなあ」と、なつかしく思う人もいるでしょう。
今回挙(あ)げたことばを使う人に、「あなたは○○出身の人ですか」と尋(たずね)たら、当たる確率は高いはずです。「どうして分かったの」とおどろかれるかもしれませんよ。
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日本語をつかまえろ!
文:飯間 浩明 絵:金井 真紀 出版社:毎日新聞出版 定価:1,540円
本書の目次
第1章 響きとリズム
第2章 漢字と仮名と
第3章 集団内のことば
第4章 こんな言い方もできる
第5章 相手に届くことば
第6章 国語辞典の楽しみ
第7章 ことばは変わる
第8章 地名は面白い
第9章 令和と万葉集
プロフィール
飯間浩明(いいま・ひろあき)
1967年、香川県生まれ。国語辞典編さん者。
『三省堂国語辞典』編集委員。国語辞典の原稿を書くために、新聞や雑誌、放送などから新しいことばを拾う毎日。街の中にも繰り出して、気になる日本語の採集を続ける。国語辞典を楽しむイベント「国語辞典ナイト」でも活躍。おもな著書に『辞書を編む』『小説の言葉尻をとらえてみた』(ともに光文社)『国語辞典のゆくえ』『つまずきやすい日本語』(ともにNHK出版)『ことばハンター』(ポプラ社)『知っておくと役立つ街の変な日本語』(朝日新聞出版)などがある。
金井真紀(かない・まき)
1974年、千葉県生まれ。文筆家、イラストレーター。「多様性をおもしろがる」を合い言葉に世界各地で人の話を拾い集めて、文や絵にしている。おもな著書に『世界はフムフムで満ちている』(ちくま文庫)『はたらく動物と』(ころから)『パリのすてきなおじさん』(柏書房)『子どもおもしろ歳時記』(理論社)『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)『テヘランのすてきな女』(晶文社)などがある。