衆議院議員選挙の投開票が27日に行われることが、15日に公示(発表)されました。みなさんの町でも、選挙運動をしている人をみかけるでしょう。選挙の制度や方法などについて、知りたいんジャーが調べました。【まとめ・田村彰子】
◇なんで衆議院と参議院があるの?
国会には衆議院と参議院があり、2院制といいます。十分な話し合いをするための仕組みです。衆議院の任期は4年で、議員数は465人(定数)。参議院の任期は6年で248人(同)、3年ごとに選挙で半数が改選されます。
衆議院と参議院の大きな違いとして「衆議院の優越」があります。
衆議院には「解散」があります。任期の途中で議員を辞めさせることで、解散は事実上内閣がします。解散後は議員を改めて選ぶ選挙が行われます。参議院に比べて任期が短く、解散もあることから衆議院は国民の意見をより反映しているとされます。このため憲法でも参議院に対して優越が認められています。たとえば、内閣を認めないという内閣不信任の決議をする権利は衆議院にのみあります。この先1年間の政府のお金の使い道を決める「予算案」を、先に審議する権利もあります。このため今回のような衆議院選挙には、どの党が政権を担うかを決める「政権選択」の意味があるのです。
◇なぜ議員を選挙で選ぶの?
日本は、「民主主義」という原理原則で政治を行っている国です。民主主義では、みんなの意見を聞いて物事を決めます。もし、みんなの意見を聞かずに少数の人たちだけで物事を決めることを許せば、自分や社会にとって不利益なことを勝手に決められてしまう恐れがあります。世界を見渡すと、王様などの独裁的な為政者(政治を行う人)が、国民の声を聞かずに勝手にふるまい、反発を受け、その政治の仕組みが崩壊してきた歴史もあります。規模が小さければ、全員が集まって直接意見を言い合う「直接民主制」ができます。しかし、国のように規模が大きくなると難しいです。そこで代表者を選び、代表者が話し合って物事を決める「間接民主制」で政治を行います。このため代表者を選ぶ選挙が必要になります。
◇選挙はどんな仕組みで行われるの?
衆議院選挙は、小選挙区制と比例代表制という二つの制度に基づいて行われます(小選挙区比例代表並立制)。衆議院議員の定数465人のうち、小選挙区制により289人を、比例代表制により176人を選びます。
小選挙区制では、投票する権利を持つ人の数(有権者数)がある程度近くなるように日本全国を289の選挙区に分け、それぞれの選挙区で1人の議員を選びます。最も多くの票を得た候補者が当選します。
比例代表制では、全国を11のブロックに分け、ブロックごとに立候補する政党が候補者の名簿を作ります。投票では政党名を書きます。立候補している政党の得票数に応じて、名簿の順番に従って当選人の数を割り当てます。どの政党も所属していない候補者(無所属)は、この制度では当選できません。
小選挙区に立候補した候補者も比例代表制の候補になれます。そうした立候補は重複立候補、また比例代表制でしか立候補しない候補者は、比例単独候補などといわれます。
◇投票率って何?
有権者のうち何%が投票したかを示す数値です。前回の2021年の衆議院選挙は55・93%でした。4割以上の人が投票に行っていないことになります。ちなみに国会議員を選ぶ国政選挙で、過去最低だったのは1995年の参議院選挙で44・52%でした。
2016年6月に選挙に関する法律が変わり、それまで「20歳以上」とされてきた投票する権利(選挙権)が、「18歳以上」に引き下げられました。衆議院選挙では17年に初めて、18歳と19歳の人も投票しました。21年衆議院選挙での18歳、19歳の人の投票率は43・23%で、全体と比べると10ポイント以上低くなっています。近年の国政選挙の投票率を年齢別に見ると、若い人ほど低く、高齢の人ほど高くなる傾向にあります。
◇どんな政党があるの?
国会議員や地方自治体の首長、議員の選挙について定めた公職選挙法で政党と認められるには、次の①②のいずれかを満たす必要があります。①所属している国会議員が5人以上②直近の衆議院選挙か参議院選挙で、比例代表か小選挙区で2%以上得票――です。この政党要件を満たさないと、衆議院選挙で小選挙区と比例代表の重複立候補ができず、小選挙区で出馬してもテレビで政見放送を流せないなど、選挙活動で制約を受けます。
このほか、政党交付金という補助金の対象を定めた政党助成法や政治資金規正法でも政党要件を定めています。要件はほぼ同じです。現在は、自民党▽立憲民主党▽日本維新の会▽公明党▽共産党▽国民民主党▽れいわ新選組▽社民党▽参政党▽教育無償化を実現する会――が政党として認められていました。教育無償化を実現する会は日本維新の会に合流したので、政党として解消されます。(2024年10月16日毎日新聞出版より)