高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は秋田高専を紹介!
「自立・挑戦・創造」の秋田発グローバルエンジニア
秋田高専では、「自立・挑戦・創造」を教育の基本方針として掲げています。
高専生にふさわしい基礎学力を身につけることが自立の第一歩です。このため、1年生から数学と英語の学習を支援する体制を作り、苦手科目の克服と得意科目の一層の成績向上を目指しています。
英語は世界で活躍する技術者に必要な能力です。4年段階でTOEIC600点を目指して計画的な指導を進めています。シンガポールでの英語研修には毎年50名近くの学生が参加しており、現在はTOEIC平均点が500点近くまで伸びてきています。
挑戦として、高専在学中に1度は海外研修に参加することが目標です。このため海外研修を拡大しています。来年度は100名以上の学生を海外に送り出すことを計画しています。
メキシコ・グアナファト大学での交流会(秋田高専提供)
タイにできた高専との交流にも力を入れており、本年度から教員を派遣するとともに、交流のための学生派遣を計画しています。来年度以降にタイ高専の学生が秋田高専に留学・研修で来てくれることになっています。
5年生後期は高専生活の集大成の時期です。卒業研究を取りまとめる大きな挑戦と創造の時期です。秋田高専では、卒業研究には、必ず大学や企業等との連携活動を組み込んだ計画にすることとしています。4年の段階から学生が指導教員と相談してそれぞれに5年次の計画を立てることにしています。
また、秋田高専のカリキュラムの特徴として、5年生の後期にカリキュラムの余裕を設けて、最長で5ヶ月の海外への留学ができるようになっています。今年度は3名の学生が留学しました。
社会での活動こそが高専生の目指すべき道です。秋田高専を支援してくれるグローカル人材育成会の会員企業と連携して、1年生から5年生まで、学年に応じて企業の現場を経験し、企業マインドを鍛える機会をカリキュラムに組み込んでいくことにしています。
教員と学生がともに研究に取り組むこと、さらに、教育を学校内で自己完結するのではなく、学生が学校を飛び出して企業を体験したり、他の大学との共同プロジェクトを組んだり、といった活動を重視しています。
秋田高専の卒業生の進路は、おおよそ就職6割、進学4割です。
就職では、県内外の企業のほか、特に土木・建築系から秋田県や県下の市町村の公務員に就職している卒業生も目立ちます。
進学者は、ほとんどが国公立大学の工学系に進みますが、5年後期のカリキュラムの余裕を活かした大学との連携教育や、秋田高専の専攻科と大学との共同教育の上で大学院に直接進学するルートの開拓を進めています。
【秋田高専へのアクセス】
■電車
JR秋田駅から,JR奥羽本線で土崎駅下車(約8分)。徒歩約25分,タクシー約10分
■バス
JR秋田駅西口から,秋田中央交通 土崎線・五条目線・追分線にて,「飯島コミュニティーセンター入口」バス停で下車。徒歩約10分
■車
JR秋田駅からタクシーで約30分