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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

親子で学ぶ受験の基礎知識②

中学受験を検討していても、本気で踏み出すかどうか迷っている家庭は多いだろう。子どもを塾に通わせている保護者も変化の激しい入試にどう備えればいいか。コロナ禍もあって不安はつきない。百戦錬磨のプロに「イロハ」から聞いてみた。
サンデー毎日増刊 2022年度版 私立中・高入試 志望校を決める!」より

Q コロナ禍で今春の入試はどうなったのでしょうか。

2022年の入試は、首都圏中学模試センター(以下、首都模試)の集計で、受験者が昨年より650人増えて5万50人でした。これは7年連続の増加で、2007年以来の5万人超えの人気になったのです。首都圏の小学6年生の中学受験率は、16・86%で過去最高になりました。

この私立中人気の理由は、やはりコロナ禍の影響です。昨年は休校期間がありましたが、私立中では生徒全員にタブレットを持たせている学校は別にして、あまり準備をしていなかった学校でも、教職員一丸となってオンライン授業開始にこぎつけました。時間割通りにオンライン授業を実施した学校もありました。コロナ禍の終息がいつになるか分からず、迅速な私立中のコロナ禍への対応に、保護者の人気が集まりました。

また、コロナ禍は学校選びにも影響を与えました。その中の一つが、駅から近い学校が人気になったことです。駅からスクールバスなどが用意されている学校は、敬遠される傾向になりました。スクールバスが密になってしまうことで、利用を避けたいと考える保護者が増えたようです。

感染リスクが高まる乗り換えの多い通学なども避けられたようで、遠くの学校まで受験に行かない傾向になりました。それは併願校数にも出ています。今年の入試は首都模試の集計で、延べ志願者が減少し、1人当たりの併願校数が昨年の6・67校から6・55校へ減少しました。「厳選受験」だったことが分かります。

試験会場でも今年は、ついたてで仕切られた席での受験や、入場に時間差を設け、入場が集中しないようにするなど、さまざまな工夫がありました。受験生が集中しないように、新しい入試日を設けたり、面接を中止にしたりする学校もありました。オンライン入試を実施すると発表していた学校もありましたが、これは事前に中止になりました。また、例年ですと試験会場周辺では、学習塾の先生が生徒を激励しているシーンによく出合いますが、今年は自粛しました。今までと異なる静かな入試風景になりました。

次回は11月13日に配信します。

 

 

教えてくれたひと

安田賢治(やすだ けんじ)さん

兵庫県生まれ、灘中学校・高等学校卒。早稲田大卒業後、1983年、
学通信
入社。現在、常務取締役で出版編集とマスコミへの情報提供の責任者。
小学校入試から大学生の就職までの情報提供と記事を執筆、講演。著書に『中学受験のひみつ』(朝日出版社)、『笑うに笑えない大学の惨状』『教育費破産』(ともに祥伝社)がある

大学通信 公式HP https://univ-online.com/

紹介した本はコチラ

タイトル:
2022年度版
私立中・高入試志望校を決める!
増刊サンデー毎日 2021年 11/20号
出版社:毎日新聞出版
定価:740円

書店、毎日新聞販売店でお買い求めいただけます

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