小泉八雲と怪談ニッポン【月刊ニュースがわかる10月号】

「メロンパン」の「メロン」って?【疑問氷解】

Q メロンパンはなぜメロンの味がしないの?(愛知県名古屋市、小6)

見た目の形からか  

A パン作りを学べる専門学校、東京製菓学校(東京都新宿区)パン課の中島進治先生に作り方を聞きました。「メロンパンはパン生地をビスケット生地で上から包んで作るのが特徴です」と言います。サクサクした食感のビスケット生地は小麦粉(薄力粉)、砂糖、バターかマーガリン、卵、ベーキングパウダー、メロンフレーバー(香料)を混ぜて作ります。中島先生の作り方でメロンに関係するのは香り(フレーバー)だけ。メロンの味がするものはなく、主にバターと砂糖の味がします。中島先生はコンビニなども含め現在売られているメロンパンはほとんどメロンの味を加えていないのではと言います。

 広島県に本社を置くパンメーカー、アンデルセングループ広報室の大村美保さんは「アンデルセングループではメロンパンの名前は見た目がメロンに似ているからつけられたというのが有力ではないかと考えています」と話します。

 昭和20年代後半、広島県内のパン屋ではパン生地の上にビスケット生地をかぶせたラグビーボール形のパンを売っていました。当時、ラグビーボールに似たマクワウリがメロンと呼ばれていたため、メロンの味はしませんがメロンパンと呼ばれました。

 一方、アンデルセングループは当時、丸くてビスケット生地に切れ目が入った「コッペパン」を売っていました。昭和30年ごろ、コッペパンの切れ目を格子状に変え、半球形の見た目から日の出を意味する「サンライズ」に名前を変えました。これが今各地でメロンパンと呼ばれているパンです。アンデルセングループでは今でもメロンパンをサンライズと呼んで売っていますが、なぜ全国的にサンライズと同じ形のものがメロンパンという呼び名で広まったのかはよくわかっていません。メロンパンにはきちんとした文献が残っておらず、最初に作った人や名づけた人がはっきりしないのです。

 なお、探してみるとメロン果汁などを練り込んだメロン味のメロンパンや、メロン味のクリームをはさんだメロンパンを売っている店もあるようです。【毎日小学生新聞編集部】

(毎日小学生新聞2018年3月19日掲載)

★「疑問氷解」は毎日小学生新聞で毎週月曜日連載中!