「戦後80年企画」80年前の子どもたち【ニュースがわかる8月号】

スクールエコノミスト2025 WEB【三田国際科学学園中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は三田国際科学学園中学校を紹介します。

校名変更、新棟完成は進化の証し。サイエンス環境が自由な発想を広げる

<注目ポイント>

①自由な発想の拠点としての新ラボ棟が生徒の思考力を加速させる。

②卓越したINTERNATIONAL環境と徹底したSCIENCE教育を高次で具現化。

③ISC、MSTC、ICのクラス編成とゼミナールが育てる飽くなき探究心。

三田国際科学学園を知る重点キーワード

 習得した知識をもとに論理的に考える「THINK」と、思考の成果を実践し問題解決やさらなる課題の発見につなげる「ACT」。三田国際科学学園中学校・高等学校の教育コンセプトの根幹を成す「THINK&ACT」は、国際感覚を養う「INTERNATIONAL」と論理的思考力を養う「SCIENCE」という環境のもとでシームレスに実現されている。

 「INTERNATIONAL」は、生徒の3割以上を占める帰国生と34名(2024年度)のインターナショナル教員を擁する国際性豊かな学校環境によって具現化。全クラスに帰国生が在籍しているので、一般生と帰国生のコミュニケーションでは日常的に日本語と英語が飛び交い、英語を話せなかった一般生も4技能を習得し、帰国生は日本の言葉や文化を得るなど、互いに高め合う習慣が根づいている。

 「SCIENCE」は、博士号を持つ常勤教員4名をはじめとするスペシャリストが、自ら考え実践する生徒を支援する。科学的アプローチサイクルを身につけるために全生徒が中1で履修する「サイエンスリテラシー」の授業では、身近なことをよく観察し、得られた気づきから問いを立て、仮説を作って検証、分析結果から考察し、新たな問いを立てるプロセスを繰り返して、探究の作法を自分のものにする。同時に統計データの活用などデータサイエンスの基礎も学んでいく。

 これら「THINK&ACT」「INTERNATIONAL」「SCIENCE」は、創立以来「時代を反映させた今必要な教育を提供する」同校を知るための重要なキーワードだ。校名に「科学」が加わった今、改めて「名は体を表す」学校として注目したい。

発想の閃きをその場で形にする新ラボ棟

 校名変更を機に「SCIENCE」環境を一層充実させるのが、今年8月完成予定の新ラボ棟だ。コンセプトの「思考を加速させる」は、大橋清貫学園長が常々生徒たちに語りかける「発想の自由人たれ」を具現化する施設にふさわしい。

3階建ての1階はものづくり空間。発想を形にする3Dプリンターなどの道具が揃う。2階はブレインストーミングやディスカッションを活発に行える空間となっている。3階では静かな空間を提供できるように工夫されている。「ラボに入った途端に発想のスイッチが入るように」と語るMST部長・サイエンス教育責任者でもある辻敏之教頭は、様々な思考形態に応じて自由な発想を促す仕掛けを随所に施し、生徒たちが発想以外の余計なことに煩わされず、とことん集中できる工夫を凝らしたという。「サイエンス思考とコミュニケーションの場を統合するこの環境から、新しい発想の成果物が出てきてほしい」と辻教頭は目を輝かせる。「発想する空間」として活用できる、国内ではあまり類を見ない発想に特化したラボ棟なのだ。